東大、赤痢菌のカスパーゼ-4に対する新規阻害因子を発見

東京大学名誉教授の笹川千尋氏と東京大学医科学研究所学術支援専門職員の小林泰良氏らは、赤痢菌をはじめサルモネラ、腸管病原性大腸菌が上皮細胞へ感染すると、生体防御反応としてカスパーゼ4依存的な細胞死が誘導されることを発見した。

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また興味深いことに、赤痢菌はカスパーゼ4を特異的に阻害する病原因子OspC3を産生・分泌することもわかった。さらにOspC3は、カスパーゼ4へ特異的に結合して、その活性ポケットを塞ぐことによりカスパーゼ4活性を阻害することを明らかにした。OspC3遺伝子を欠損させた赤痢菌を上皮細胞へ感染させると、カスパーゼ4の活性化による炎症性細胞死(パイロプトーシスとも呼ばれる)が引き起こされ感染細胞が排除されることを、細胞および動物個体レベルで明らかにした。

多細胞生物の細胞は、感染やがんで個体全体へ障害が及ぶとき、個体を生かすために自殺(細胞死)を選択する。この「管理された細胞死」は、カスパーゼと呼ばれる一群のプロテアーゼにより制御されているが、未だ不明な点が多かった。

腸管粘膜における病原菌排除機構の一端が明らかになり、これを通じてカスパーゼ4が関わる感染症や敗血症に対する阻害薬を開発する手掛かりとなることが期待される。

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