富士通,汎用的な10Gb/s 用の部品で100Gb/s 通信を実現する光伝送技術を開発

富士通研究所と富士通研究開発中心有限公司は,汎用的な毎秒10Gb/s用の部品で100Gb/sの高速通信を実現する光伝送技術を世界で初めて開発した。

従来,データの伝送速度を向上するためには高速化に対応した部品が必要で,汎用的な部品は用いることができなかった。また,これまでの単純な変復調方式を用いた伝送方式では高速化に限界があった。今回,デジタル信号処理を用いたDMT(Discrete Multi-Tone)変復調方式を適用することで,汎用的な10Gb/s用の部品で1チャネルあたり100Gb/sの伝送を実現した。具体的な技術は以下の通り。

  • DMT変復調方式 xDSLなどで使用されているDMT変復調方式を,世界で初めて100Gb/s超の光通信に適用した。DMT技術はデータを多数のサブキャリア(搬送波)に分割し,それぞれのサブキャリアに多値変調を用いることで高速伝送を実現するという特長がある。各サブキャリアのパワー,多値度の最適化を実現するため,システムを立ち上げる際に光送受信器間で受信状況の確認を行ない,送受信器および回線の特性に合わせて各サブキャリアに割り当てるパワーおよび多値度の最適化を実施するアルゴリズムを開発した。
  • 既存汎用部品のすり合わせ技術 既存の汎用部品を用いて,DMT変復調方式を実現する技術を開発した。例えば,特性的に十分な線形性が保てないような部品であっても,あらかじめその特性を把握し補正しながら利用することで,線形性があるのと同じように使いこなすことを実現した。

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この技術を4チャネル構成の光送受信器に適用することで,次世代データセンターでの適用が想定されている400Gb/sイーサネット用トランシーバの実現が可能となり,クラウドサービスを支えるデータセンターの処理能力の向 上が期待される。

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