月刊OPTRONICS 特集序文公開

ロボットアームに最適な産業用光アクティブケーブル

著者:クロニクス 門井広生

1.産業用ロボットにおける伝送インフラの高度化

1.1 産業用ロボットとケーブル技術の重要性

産業用ロボットアームは,自動車,半導体,電子部品,食品,衣料機器など,様々な製造分野において中核的な役割を担っている。近年はロボットの高速化・高精度化が進み,単なる動作の制御だけではなく,高解像度カメラや3Dカメラなど多様なデータをリアルタイムに処理する必要が生じている。

これらの機器を接続するために,ケーブルは極めて重要な要素である。特にロボットアームに沿わせて設置するケーブルは,連続した屈曲・ねじれ・振動にさらされるため,一般的な産業用ケーブルとは異なる高い信頼性が要求される。従来は銅線ベースの同軸ケーブルや差動信号ケーブルが主流であったが,データレートの増大とノイズ耐性の要求により,限界が顕在化しつつある。

1.2 光アクティブケーブル(AOC)の基本概念

光アクティブケーブル(Active Optical Cable;AOC)とは,ケーブル両端のコネクタ内部に光電変換回路を内蔵し,伝送媒体として光ファイバーを用いるケーブルである。カメラ等の信号源からの電気信号はコネクタ内部の光電変換回路で光信号に変換され,光ファイバーを介して伝送された後,受信側のコネクタで再び電気信号に変換される仕組みである。

この方式により,外部にメディアコンバータ等の機器を必要とせず,従来の電気ケーブルと同等の取り扱い性を維持しながら,光伝送の利点を享受できる点が大きな特徴である。産業用途においては,高速性,長距離伝送,耐ノイズ性を同時に実現できる手段として注目されている。また,光ファイバーを用いるため,軽量・柔軟なケーブル設計が可能であり,ロボットアームの可動性や屈曲耐久性を損なわないことが重要な利点である。

本稿では,こうしたAOC技術をリードする企業として,ドイツAlysium-Tech GmbH(以下「アリジウム」)と,中国・深センのShenzhen 8K-Link Optoelectronics Technology(以下「8Kリンク」)を紹介し,産業用ロボットアームへのAOC適用可能性を論じる。

1.3 アリジウムと8Kリンクの企業概要

アリジウムは,ドイツを拠点とするインターコネクトソリューション企業であり,高信頼性の光アクティブケーブル製品を提供している。ドイツ・ニュルンベルグに本社を置き,産業用ケーブルアセンブリや光アクティブケーブルを世界市場に供給している。USB3.2 Gen2やCameraLink HS®などの高速データ伝送対応AOC製品をラインナップしている。

一方,8Kリンクは,中国・深センに拠点を置き,HDMI,DisplayPort,USBなどのAOCソリューションを専門に開発・製造する企業である。2019年設立ながら,ISO9001認証を取得し,AV,医療,産業,自動化分野向けのAOC製品を提供している。高性能AOCにより距離制約を突破し,プロフェッショナルAVや産業用機器でも利用可能な製品群を展開している。

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