NIMS,低温・溶液でペロブスカイト太陽電池を作製

物質・材料研究機構(NIMS)は,安価・軽量・フレキシブルなどの特徴を備えた次世代太陽電池実現に必要不可欠な低温・溶液プロセスを用いて,高い再現性や安定性を有するペロブスカイト太陽電池を作製することに成功した(ニュースリリース)。

従来の低温・溶液プロセスで作製されたペロブスカイト太陽電池は,安定性や再現性に問題があり詳細な動作メカニズムの解明が困難だった。今回,ペロブスカイト結晶を生成する過程に塩素を添加する相互拡散法(Chlorine-mediated interdiffusion method)を新たに開発し,下記の特長を有する高効率ペロブスカイト太陽電池を低温・溶液プロセスにて実現した。

(1)最大でも140℃未満のプロセス温度(フレキシブル基板等への高い親和性)
(2)長期間に及び一定の出力特性が得られる優れた安定性
(3)約2時間の連続光照射下でも安定した出力特性を維持する優れた耐久性
(4)電圧掃引方向等に関係なく常に一定の変換効率が得られる信頼性の高い出力特性と再現性

低温・溶液プロセスでの実現は,プラスチックなどの軽量でフレキシブルな基板を用いた太陽電池の製造を可能にする。さらに,この成果に基づく高い安定性・耐久性・再現性を有する素子の実現により,連続光照射下でも長時間に渡り詳細に動作の解析ができる。

研究グループではこうした成果から,ペロブスカイト太陽電池の実用化へ向けて,これまでは困難であった動作メカニズムの解明が飛躍的に進むことが期待できるとしている。

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