筑波大ら,硫酸性温泉に生息する藻類がレアアースを効率良く吸収することを発見

筑波大学,産業技術総合研究所,大阪大学,東京薬科大学らの研究グループは,高温・酸性条件に生息する硫酸性温泉紅藻Galdieria sulphurariaが,特定の条件下で,希少金属として知られるレアアースを選択効率的に回収することを明らかにした(ニュースリリース)。

Galdieria sulphurariaは,日本でも,草津や登別などの硫酸性温泉の緑色の岩場で見られる,イデユコゴメという和名をもつ藻類の仲間。Galdieria sulphurariaは,イデユコゴメの中で,唯一,有機物を利用して増殖することから,複数の培養条件に適応することができる。

今回,研究グループは,Galdieria sulphurariaが,一定の条件下で,複数の金属を含む酸性溶液から低濃度のレアアースを高効率で回収することを見いだした。さらにそのメカニズムが,従来提案されている微生物による金属回収方法とは異なるものであることを明らかにした。

研究グループはこの成果について,低濃度のレアアースを含む酸性の金属廃液からレアアースを高効率で回収する新しい技術の開発に繋がるものだとしている。

今後はGaldieria sulphurariaがレアアースを細胞内に蓄積するメカニズムの解明を進め,条件の最適化を図ることなどにより,高効率で経済性のあるレアアースのリサイクル技術の構築に寄与することが期待されるとしている。

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