光技術者として日々の研究にいそしむ著者が,これまでの経験や日常を通じて感じる光に関するあれこれを,肩ひじ張らずに綴る人気のコラム。その飄々としたキャラクターも魅力の一つです。

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遠赤外線の効能

寒い季節になると暖かいインナーウェアがありがたい。その昔,とは言っても僕の父親くらいの世代では,ラクダの毛や羊毛で作られた「ラクダのシャツ,ラクダの股引き」なんていうものが定番だった。今は技術の進歩で,薄くても暖かい高機 […]

惹かれ合う影

冬になって太陽の角度が低くなったから,陽射しや影が長く伸びている。先日,電車に乗ったら,僕の向かいの座席の無いスペースの壁に,窓の形の明るい陽射しが投影され,そしてその中には座っている僕の影が映っていた。 少し体を斜めに […]

色なき風はどんな色?

秋になると,僕が住んでいる街では夕方の4時に童謡「紅葉」のメロディーが防災放送で流れるようになる。「秋の夕日に 照山もみじ」という歌詞で始まるこの歌を,日本人であれば誰もが聞いたことはあるだろう。歌の2番には「赤や黄色の […]

迷いの窓と悟りの窓

京都の源光庵という禅寺に行ってきた。寺の名前に「光」が入っていること,そしてこの寺には「迷いの窓」「悟りの窓」という有名な二つの窓が並んでいるということで,前から僕はこの寺が気になっていたのである。 窓というのは,採光, […]
無量光─何物にも遮ることのできない光─

無量光─何物にも遮ることのできない光─

もう何十年も前に見た映画なのでうろ覚えなのだけれども,ディズニー映画のピーターパンの中で,ウェンディーという女の子の部屋にピーターパンが自分の影を忘れてしまい,ピーターパンがそれを取り戻しに来るというシーンがあった。 ピ […]

薄暗闇に浮かぶ影

 不覚にも,テニスで自打球を右目に当ててしまった。しばらくは目に強い痛みを感じ,涙がポロポロと止まらない。目をつぶっているのに視覚には白い星がいくつも光っている。強い衝撃のために光視症が起きていたのだ。。 なんとか目を開 […]

4Kの恩恵

 東京では夏のオリンピックが2度,開催された。1度目は1964年。当時,僕はまだ幼い子供だったけれども,白黒テレビで見た開会式や三宅選手の重量挙げのシーンは今でも記憶に残っている。そして2度目の開催は2021年。今や熱帯 […]

赤毛のアンがつくった虹

 「赤毛のアン」を初めて読んだ。僕は,この小説は「夢見る乙女が読む物語」という偏見を持っていて,なんとなく近寄り難いイメージを持っていたのだ。先日,手持ち無沙汰で家の書棚の中から適当に本を引っ張り出したら,それが「赤毛の […]

これは光か

 夜中にふと目が覚めてしまった。雨戸がない部屋に寝ているから,カ ーテンの隙間から月明かりが差し込んではいるが,それでも室内は充分に暗い。なんだか目が痒いので,両目をつぶって親指の付け根でぐりぐりこすったら,一瞬,視界に […]

黒いキャンディはゴムの味?

オランダでは「ドロップ」と呼ばれる黒いキャンディーがまるで国民食のように食べられている。以前,オランダを訪れた時に,スーパーマーケットにこのドロップの専用のコーナーがあって,ポテトチップスのように様々なメーカーの様々なタ […]