4Kの恩恵


 東京では夏のオリンピックが2度,開催された。1度目は1964年。当時,僕はまだ幼い子供だったけれども,白黒テレビで見た開会式や三宅選手の重量挙げのシーンは今でも記憶に残っている。そして2度目の開催は2021年。今や熱帯になってしまった夏の日本での開催ということや,パンデミックの影響で1年延期などという困難に直面したものの,なんとか無事に終了したことは人々の記憶に新しいところだ。

僕は抽選で入場券が当たり,本来であれば近代五種をリアルで見られる予定だった。しかし,無観客開催ということで,結局は全て自宅でテレビ観戦ということになってしまった。1年延期されたオリンピックがいよいよ開催される寸前に,我が家のテレビがこわれてしまった。オリンピックなのにテレビが無いのもつまらないということで,この機会に新調することにしたのだけれども,ネットで調べても,家電量販店に行っても,「オリンピックは4Kで」というキャッチフレーズばかりだ。ミーハーな僕は「そうだよなあ,オリンピックはやっぱり4Kだよなあ」と,あっさりと型落ちで値引きになっていた4Kテレビを買ってしまった。我が家のリビングの広さには似合わぬ大型画面の迫力に僕はウキウキとして東京オリンピックの開催を待ったのだった。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  

    新規読者登録フォーム

    関連記事

    • 灯影に映って死んだ女房の話

      著者:納谷昌之 今昔物語に、「灯影(ほかげ)に映って死んだ女房の話」という小話がある。美しく、性格も良かったため、皆から慕われていた小中将の君という女房(宮仕の高位の女官)がいた。ある時、小中将が仕える屋敷の一室で灯火が…

      2026.09.10
    • ちょうど良い暗室

      ちょうど良い暗室

      著者:納谷昌之  光屋にとって、暗室は身近な存在だろう。僕にとっても、大学の光学の研究室で学んで以来、長い付き合いになる。指導教官から一通りの説明を受け、初めて一人で暗室に残された時の光景は、今でも忘れられない。レーザー…

      2026.08.12
    • 遥かなる蜃気楼

      著者:納谷昌之  5 月に、富山県魚津市に行ってきた。魚津市は蜃気楼が現れる街として有名である。屏風のようにそびえ立つ残雪の立山の眺めも魅力的だ。そして、5月はホタルイカなど、富山湾の海の幸も旬となる。そのすべてを体験す…

      2026.08.12
    • グラスが放つ光

      著者:納谷昌之  水や酒が入ったグラスを透かして、テーブルに映る光を眺めるのは楽しい。とりわけ、真上にスポット照明があるような場所で、グラスの底を通って作り出される光の模様が僕は好きだ。できれば部屋は薄暗い方がいい。光が…

      2026.07.08
    • つり革の幻影 回折かピンボケか

      著者:納谷昌之 僕がよく乗る小田急線のつり革は、握りの部分が円形をしている。座席に腰を下ろすと、その下辺あたりが、荷棚のステンレスパイプとちょうど重なる位置に見える。そのパイプには、天井の照明が細いスリット状の光として映…

      2026.05.13

    新着ニュース

    人気記事

    編集部おすすめ

    • オプトキャリア