ガラス加工に息づく“勘と感覚”を、次の世代へ

現場で培った経験を、次の世代へ

─橘光学の技術は、私たちの身近な場所でも使われているのでしょうか

分かりやすい例としては、(東京都港区の)六本木交差点に設置されている街路灯があります。そこに使われている硝子部品は、当社が手掛けたものです。

このプロジェクトは、自治体、デザイナー、そして私たちのような手仕事を担う加工業者が協力して進めたもので、数年にわたって続いています。機能性だけでなく、街の景観やデザイン性も意識した、印象深い仕事でした。

─経験の中で失敗もありましたか

ガラス加工では、設計図を基に比較的大きな素材を削り出していくことが多いのですが、削りすぎてしまうと元に戻すことはできません。その場合は、一から作り直すしかありません。また、ガラス素材ですので、うっかり落として割れてしまったという経験も過去にはあります。そうなると、それまでの工程がすべて無駄になってしまいますが、そうした失敗も含めて経験として積み重ねてきました。

─手仕事の世界では、器用さも重要な要素ですか?

幼い頃から自宅の近くに祖父母の家兼工場がありましたが、当時は特別な興味を持っていたわけではありませんでした。後継者としての意識づけや教育も特になく、プレッシャーはありませんでした。二十代で会社に入ったときは、まさにゼロからのスタートでした。

仲間や先輩の仕事を見ながら、見よう見まねで覚えていったというのが実情です。もともと「ものづくりが好き」というタイプだと思ってはいなかったのですが、実際にやってみると、創造性のある仕事であり、自分の性格に合っていると感じるようになりました。

─目指すべき企業像について

ガラス加工業界全体を見ると、後継者不足や市場規模の縮小といった課題があり、厳しい状況にあるのは事実です。しかし一方で、高品質なカスタム製品を求めるニーズは確実に存在しています。

そうした中で、私たちのような小規模でも高い技術力を持つ企業は、今後も必要とされ続ける存在だと考えています。今後はパートナー企業との連携をさらに深め、中量産レベルの案件にも対応できる体制を整えることで、より安定した稼働と次世代への技術継承を実現していきたいと思っています。

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