工繊大ら,水の力で不溶有機半導体材料をフィルム化

京都工芸繊維大学,大阪工業大学,産業技術総合研究所は水と有機溶媒を適切に混ぜることで、poly(NiETT)粉末が自然にほぐれて分散する新しい手法を発見し,従来は困難だった薄くて柔軟なフィルムの作製が可能になったと発表した(ニュースリリース)。

私達の身の回りでは,エアコンや自動車,工場などから大量の熱が捨てられている。その量は,エネルギー全体の約3分の2にものぼる。この捨てられた熱を電気に変える熱電変換は,次世代のエコ技術として注目されている。なかでも,曲げたり貼ったりできる柔らかい有機材料を使った熱電材料は,ウェアラブル機器や柔軟なセンサーへの応用が期待されている。

ところが,特に電子を運ぶn型と呼ばれる有機材料は,空気や湿気に弱く不安定で,思うように使えないことが大きな課題だった。

今回,研究グループは水を味方につけた。粉末状の材料を水と有機溶媒の混合液に入れると,自然にほぐれて液体中に分散することを発見した。特別な薬剤や複雑な工程は不要で,まるで砂糖が水に溶けるように,材料が自発的に使いやすい姿に変わる。

この液体をフィルターで濾すと,薄くてしなやかなフィルムをつくることができる。フィルムは厚さの千分の1ミリほどで,折り曲げても割れないのが特長。しかも,これまでの材料より高い性能を持ち,空気中の湿気をうまく利用するとさらに性能が上がることもわかった。

とりわけ環境の水分を含ませたまま熱処理すると自然のドーピング剤として働き,熱電変換特性(温度差発電特性)が大幅に向上した。

さらに,このフィルムをカーボンナノチューブと組み合わせて赤外線を電気に変えるセンサーを作製した。その結果,テラヘルツ波と呼ばれる領域の赤外線を検出する感度が,従来のセンサーの約4倍に向上した。テラヘルツ波は,次世代通信(6G/7G)や医療・非破壊検査で活用が期待されている重要な光となっている。

研究グループは,近い将来,体に貼って体温の変化から電気を生み出すデバイスや,見えない光を検知する高感度センサーによる異物検査・成分分析,さらには次世代通信の受光デバイスなど,未来の暮らしを支える新技術につながることが期待されるとしている。

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