日本の高校生「社会で理科は不要」,NIYE調査

著者: sugi

将来に役立つと思う科目(複数回答)
好きな科目(複数回答)
大学や専門学校で専攻したい分野(複数回答)
社会に出たら理科は必要なくなるか

国立青少年教育振興機構青少年教育研究センター(NIYE)は,調査研究「高校生の科学への意識と学習に関する調査-日本・米国・中国・韓国の比較ー」の結果を発表した(ニュースリリース)。

この調査は,高校生の科学に対する意識や学習状況を多角的に把握し,科学教育の向上に寄与するための基礎資料を提供することを目的として行ったもの。米国,中国,韓国でも同時に調査を実施し,諸外国と比較することで,日本の高校生の特徴や課題を考察した。

その結果によると,日本の高校生は,『将来に役立つと思う科目』について「外国語」と回答した割合が75.8%と,米中韓に比べて突出して高かった。一方,「数学」が39.9%で,米中の6割強に比べて20ポイント強低い。「物理」「化学」「生物」はいずれも約15%にとどまった。

『好きな科目』は「数学」と回答した割合が41.3%で科目の中で最も高いが,それでも米中に比べて低い。「物理」は15.7%で,米韓よりやや高いものの,中国の43.2%を大きく下回った。「生物」「化学」と回答した割合はいずれも約2割で,韓国より高いものの,米中より低い。「地学」の割合は7.0%で,4か国中最も低かった。

『大学で専攻したい分野』を見ても,「理学系(数学,物理学,化学,生物学,地学など)」と回答した割合は,日本が19.2%で,米国の22.5%,中国の39.7%,韓国の26.6%に比べて最も低かった。また,『社会に出たら理科は必要なくなる』について,「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した割合は,日本が45.9%で4か国中最も高かった。

日本の高校生は科学の学力では世界トップレベルを維持しているが,科学への興味・関心や自己効力感が低いという課題が長年指摘されてきた。今回の調査において,この「学力と意識の乖離」が高校段階でも継続していることが確認できたとする。

具体的には,授業内容には一定の関心を示すものの,自発的に知識を広げようとする探究心は低く,「研究者」などの基礎科学分野の職業への意欲も低い傾向にある。学校での学習は受け身な活動が多く,生徒自身が探究的な学びを望む割合も低い。さらに,学校外での自然体験や科学プログラムへの参加といった,科学への興味の土台となるノンフォーマルな学習機会が国際的に見て乏しい状況が明らかとなった。

NIYEはこうした学校内外での主体的・探究的な学習機会の不足が,いわゆる「理科離れ」の背景にあると指摘。これを踏まえ,今後は格差に配慮しつつ,大学や企業,地域社会が連携し,すべての青少年に質の高い探究・STEAM教育の機会を提供する環境を構築していくことが重要だとしている。

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