世界が競う!光技術の最前線―レーザーミュンヘン2025

欧州を代表するワールドクラスの光学・レーザー関連見本市『Laser World Of Photonics2025』がドイツ・ミュンヘンで開催された。

この展示会は2年に一度,同地で開催されており,編集部としての現地参加は6年ぶりだった。主催者発表によれば,今回は過去最多の出展社数を記録した。前回開催時は新型コロナの影響が残っていたが,今回はその影響を一切感じさせず,来場者数は約4万4,000人に達したという。なお,本展示会への来場は完全有料制。

併設イベントとしては「World of Quantum」があり,メインエントランスに最も近いホールA1に配置されたため,非常に目立つ構成であった。また,ロボット専門展も同時開催され,製造大国としての存在感を示していた。光学・レーザーとの親和性が高いこともあり,自然な併催という印象を受けた。展示ホールは全12のうち,フォトニクス関連が6ホールを占めた。

ドイツは日本と産業構造が類似しているとされ,フォトニクス分野における日独の連携も進行中である。例えば,およそ6年前には第2期日独国際産学連携共同研究(オプティクス・フォトニクス分野,いわゆる2+2産学プロジェクト)において3件が採択され,2020年10月より研究が始動している。

ドイツのレーザー産業は主に自動車業界が供給先であり,生産拠点は中国から東南アジアへと移行中という。主要プレーヤーは自動車メーカーのR&Dや量産の動向に合わせて製造・販売を展開している。また,先端技術開発ではフラウンホーファー研究機構との連携が緊密に図られている。

今回の見本市において,レーザーおよびその加工技術に関しては,IPGフォトニクス,トルンプ,レーザーライン,コヒレント,MKSなどの主要企業が大規模なブースを構え,今後の中核製品と目される新技術・製品を多数出展した。一方で中国メーカーも強い存在感を放ち,ハンズレーザー,Raycus,MAXフォトニクス,ストロングレーザー,JPTなどが参加。ドイツ勢もそれらを明確に競合と認識している様子が取材を通じて見て取れた。

日本にとって守るべき市場は,やはり高出力青色レーザーだろう。古河電気工業は欧州市場に向けて,高出力青色レーザーに加え,IRレーザーとのハイブリッド構成によるソリューションを提示。また,JAPANパビリオンは2か所に展開され,欧州市場への訴求が図られた。

なお,この見本市はPhotonic Westとは異なる独特の雰囲気を持ち,展示終了後の17時には各ブースでレセプションが催されるなど,会場内は活気に満ちていた。欧米に加えて中国市場への視線が不可欠であるという認識は,今回の展示会を通じて多くの関係者に共有された見解である。詳細なレポートは「月刊オプトロニクス」2025年8月号より順次掲載予定である。今後の掲載をぜひご期待いただきたい。