東北大,温度とpHを同時計測するファイバーを開発

東北大学の研究グループは,熱延伸技術とレーザー微細加工を用いることで,温度とpHの同時計測が可能である超微細ファイバーデバイスの開発に成功した(ニュースリリース)。

温度は生理学や病理学上の生体反応において重要な役割を担っており,生体システムから細胞レベルまでの化学物質の動態と密接にかかわっている。一方,生体内部温度のモニタリング技術は進展しているものの,局所的な温度変化と体内の化学物質の変化を同時に計測する技術は開発には至っていなかった。

そこで研究では,延伸技術を用いることで局所温度とシグナル伝達物質の一つであるpHを同時に計測できるファイバー型デバイスの開発に取り組んだ。生体内への埋め込みや長時間の使用,複数の動態を計測できる機能を有しながら,微細かつ柔軟性のあるデバイスが求められる。

熱延伸技術はポリマー製のプリフォーム(原型)を維持したままミクロスケールの繊維を作製することができる。今回,この繊維内に銅とコンスタンタンの二本の金属を使用したゼーベック効果に基づく熱電対技術と,炭素複合材料による電気化学センシング技術を組み込みことによって,柔軟性を持ちながら直径約200μmの温度・化学センシング機能を有するファイバー型デバイスを作製した。

ファイバー内に搭載した熱電対の温度センシング性能を評価した結果,計測安定性や0.5℃の計測分解能,高精度な温度計測に必要な時間分解能を確認した。炭素複合材料表面に修飾したポリアニリンを使用するpHセンシング性能評価では,高精度のpHセンシング感度と生理的温度範囲でも高い安定性を示した。

また,これまではファイバーの先端を加工し,センシング部の作製を行なっていたが,レーザーを用いた微細加工をファイバーの側面に行なうことで,温度・pHセンシング箇所をファイバーの任意の場所に作ることを可能にした。

これは今回のファイバーが生体内に挿入する微細化プローブのみならず,繊維として,衣服に組み込むことで生体の生理的状況を長時間モニタリングできるウェアラブルデバイスとしての応用可能性を示すもの。

この温度とpHをセンシングできる多機能ファイバーデバイスは高感度(温度:38.3μV/K,pH:66.05±5.84mV/pH )および高安定性(Na⁺,K⁺に対する特異性,二週間にわたる長期安定性)を備えている。また,熱延伸技術により更なる計測機能を追加することも可能。研究グループは今後,複数のイオン動態の計測機能や電気生理学的計測機能,光信号や電気信号を計測する機能を追加することを目指すとしている。

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