東北大,光ファイバプロセスで多機能カテーテル作製

東北大学の研究グループは,熱延伸プロセスを活用し,繊細かつ柔軟な繊維 (ファイバ)として線径を数百μm程度にまで抑制しながら,屈曲変形および神経伝達物質をモニタリングできる多機能性カテーテルの開発に成功した(ニュースリリース)。

医療用カテーテルは求められる様々な機能性を付与するほどに,線径がサイズアップしてしまう。そこで研究グループは,アクチュエータ,化学センシング,光路や微小流路などの多様な機能を数百μm以下のファイバに集積する多機能カテーテルの製造技術を開発することにした。

研究では,屈曲機能を有する形状記憶合金ワイヤを含む多機能ファイバとしての微細なカテーテル素子を開発した。従来の製法である多層集積化とは異なり熱延伸プロセスを応用することにより,必要とする構造と機能を設定した成型物を加熱しながら引き延ばすことで,より細くスケールダウンしながらも構造と機能を維持したまま,人毛のような細いファイバとして大量生産することが可能となった。

この多機能ファイバは数百μm以下の線径で繊細かつ柔軟性があり,さらに電気化学センシングとアクチュエータの機能なども問題なく同時に付与することに成功した。電気化学センシングでは,目標分子の電気化学反応を起こさせる作用電極であるカーボン電極,そして対極と参照電極(測定電位の基準)を併用した疑似参照電極(p-RE)を導入した。アクチュエータには,駆動電源と接続させる正極の形状記憶合金ワイヤ(SMA)と負極のステンレススチール(SS)を導入した。

ファイバ内部に導入してある形状記憶合金ワイヤによるアクチュエータ機能では,電圧印加のon-offによるジュール熱を利用しており,この導入した電力量とカテーテル先端の変形量が比例関係となる。そのため電力制御で変形量をコントロールすることができるという。

実験では,アドレナリン濃度の異なる2種類の緩衝液の異なる液流部位ごとのアドレナリン濃度の差異の検出に成功した。この実験では,カーボン複合材料をセンシング電極として導入し,熱延伸プロセスにより製作した多機能カテーテルを用いた。

研究グループは,この多機能性カテーテルの屈曲運動をさらに発展させることで,複数のカテーテルを同時に生体内で正確に移動させることが可能となり,臓器や血管などの検出部位ごとに異なる生理活性物質の濃度を,同時にリアルタイムで検出できるマルチプローブの開発につながることが期待されるとしている。

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