ソニー,イベントベース方式の画像センサーを発売

ソニーは,産業機器向けに,被写体の変化のみを検出することができる,2タイプの積層型イベントベースビジョンセンサー「MX636」と「IMX637」を商品化する(ニュースリリース)。サンプル出荷は2021年10月を予定している。

産業機器業界におけるニーズの高度化・多様化に伴い,カメラで取得した画像から必要な情報を抽出するセンシングの活用が拡大し,より高効率なデータ取得が求められている。

一般的に利用されているフレームベース方式では,フレームレートに応じて一定の間隔で全体の画像を出力するが,この製品は,画素の輝度変化を非同期で検出し,画素の位置(xy座標)および時間の情報と組み合わせてデータ出力することができるイベントベース方式のセンサーとなっている。

センサーの画素部と,輝度変化を検出する信号処理回路を組み込んだロジック部を,一画素ごとにCu-Cu接続で導通する独自の積層構造を採用。これにより,対象物の輝度変化を検出した画素のみがデータ出力することで,低消費電力ながら高速・低遅延で高時間分解能を持つ輝度変化の検出を可能にした。

さらに,業界最小の4.86μm角の画素サイズによるセンサーの小型化かつ高解像度も実現した。

これにより,微小な振動の変化を捉えることによる,装置の予知保全につながる異常検知や,溶接・金属切削時に発生する火花の変化を捉えることによる,治工具の最適な交換など,フレームベース方式のイメージセンサーでは認識が困難な用途や,人の経験に頼っていた作業工程など,さまざまな場面において生産性を向上させるとしている。

さまざまな用途に対応するため、仏Propheseeが開発した不要なイベントデータを除去する複数のフィルター機能を搭載。このフィルター機能を使用することで,LEDフリッカーなど特定の周期で発生する認識に必要のないイベントの除去(アンチフリッカー),対象物である動被写体の輪郭に該当しない可能性の高いイベントの除去(イベントフィルター),後段のシステムが処理できるイベントレート以下となるようなデータ量の調整(イベントレート制御)などが可能だという。

発売する「IMX636」は,1/2.5型(対角7.137mm)有効約92万画素,「IMX637」は,1/4.5型(対角3.983mm)有効約33万画素。この製品におけるソニーとPropheseeの協業の一環として,センサーの性能に最適化されたイベント信号処理ソフトウェア「Metavision Intelligence Suite」がPropheseeより提供された。

このソフトウェアと組み合わせることにより,効率的なアプリケーション開発が可能となり,より様々なユースケースに向けたソリューションの提供に繋がるとしている。

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