NEDOら,8W深紫外ピコ秒パルスレーザー開発

著者: higa

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO),スペクトロニクスの研究グループは,波長266nmの深紫外ピコ秒パルスレーザー発振器で世界最高クラスとなる出力8Wの発振器を開発した(ニュースリリース)。

このレーザー発振器は,狭スペクトル幅の波長1064nmのパルス光を生み出すパルス発生部,これを増幅する光パルス増幅部からなる近赤外レーザー部と,深紫外線を生み出す波長変換部によって構成されている。

パルス発生部では光通信技術によって培われた堅牢なDFB半導体レーザーをパルス光源に採用し,高速なパルス電流注入により15ピコ秒以下のパルス光を発生させることに成功した。

高速電流ドライバーを用いて半導体レーザーをパルス変調して緩和振動を発生させ,電流制御によって第2ピーク以降を抑圧する駆動法(ゲインスイッチ駆動)を採用した。特に,高速電流ドライバーを新規開発することにより,安定したピコ秒パルス発生部を組み込み可能な手のひらサイズで実現した。

また,光パルス増幅部には,ファイバレーザー技術と固体レーザー技術を融合したオリジナリティーの高い技術を採用し,DFB半導体レーザーから得られる光の特性(狭帯スペクトル)を損なうことなく80dB以上の増幅を実現した。

深紫外レーザーの課題であった波長変換結晶の劣化による出力低下を,高効率波長変換により抑制した。CLBO結晶による中間波長(可視レーザー)からの深紫外レーザー発生効率は,従来の短パルス近赤外レーザーを用いた場合,20%前後だったが,今回開発した近赤外レーザー技術を用いた場合,60%を超える変換効率を実現する。

この高効率特性をもとに波長変換部の最適化設計を行なった結果,結晶劣化を抑制可能な動作条件下で実用的な変換効率と深紫外光パワーを両立することに成功した。

この技術により波長266nm平均出力10Wの連続動作で10,000時間を世界で初めて達成した。また,繰り返し周波数とパルス幅は200kHz,10ピコ秒で,CLBO結晶のシフト技術は使用せずに達成した。このように深紫外発生部が長寿命化することで,生産現場におけるメンテナンス周期が長くなり,生産性向上に大きく貢献できるとしている。

このレーザー発振器により,生産性と高品位加工性を両立できるレーザー加工のツールとして,電子部品,電気自動車,航空・宇宙などの産業で,部品および素材加工に活用されることが期待できる。

なおスペクトロニクスは,パルス幅が15ピコ秒以下の深紫外短パルスレーザー発振器として,世界に先駆けて3月23日から販売を開始する。

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