DNP,タフな車両用樹脂ガラスを発売

大日本印刷(DNP)は,樹脂ガラスに転写することで,耐候性,耐摩耗性を向上させる「DNP超耐候ハードコート転写フィルム」を開発した(ニュースリリース)。

同社は,事業の成長領域のひとつに「住まいとモビリティ」を掲げ,自宅や職場,学校や商業施設のほか,自動車や電車などの移動空間も含めた快適性の確保や,いつでもどこでも安全に利用できる情報サービスの創出などに努めている。

自動車関連では,内装用の加飾フィルムや車載ディスプレー用の視野角制御フィルム等を提供しているほか,ドア窓の上に付けるサイドバイザーで高い国内シェアを持つDNP田村プラスチック株式会社を2015年8月にグループ化するなど,事業を強化している。

樹脂ガラスは耐衝撃性や断熱性に優れるほか,重量が一般のガラスの約半分と軽いため,電車の車両や建設機械,自動車の窓ガラスなどに使用したいというニーズが高まっている。

しかし,ポリカーボネート製の樹脂ガラスは,加工性に優れる反面,太陽光や風雨などに対する耐候性や,硬さ,傷つきにくさなどがガラスよりも劣るという課題があった。

この課題に対して同社は,住宅用建装材の製造で培った独自のEB技術(電子線の照射によって,塗工した樹脂を硬化させるコーティング技術)を活用し,樹脂ガラスの表面に転写することで耐候性と耐摩耗性を向上させる「DNP超耐候ハードコート転写フィルム」を開発し,このフィルムを転写した樹脂ガラスを販売する。

この樹脂ガラスは,EB技術によって高硬度のハードコート層を形成するため,汎用品のポリカーボネート樹脂と比較して,表面の耐摩耗性が向上するため傷つきにくく,また紫外線(UV)による変色や劣化が抑えられ耐候性が向上する。

また,樹脂ガラスの成型と同時にフィルムを転写することで,加工等のコストを抑えることが可能。プラスチック製のため重量はガラスの約半分と軽量だが,ガラスと同等の透明性を確保している。

さらに,耐衝撃性が高く,割れる可能性が低いため,安全面で優れているとしている。