阪大,A/D変換の全処理を光技術で実現

大阪大学の研究グループは,世界で初めて10兆分の1秒(100フェムト秒)を超える“ジッタ”(通信における時間の揺らぎ)性能を持つ高精度アナログ・デジタル(A/D)変換の全ての処理を光技術で実現した(ニュースリリース)。

電気的A/D変換器の高精度化は,“ジッタ”による信号のサンプリングのタイミング揺らぎにより10兆分の1秒程度(100フェムト秒程度)で限界を迎えると推定されているほか,必要な電気的A/D変換器の数が増加するために消費電力増加の問題も顕在化してきている。

研究グループは今回,電気的A/D変換器を全く用いずに高精度A/D変換の全ての処理を光技術で実現することを試み,10兆分の1秒(100フェムト秒)を超える“ジッタ”の条件での動作実験に世界で初めて成功した。これまで検討してきた各技術を結集することで,電気的A/D変換器における“ジッタ”の限界を超える条件での高精度A/D変換の全処理の光化を実現した。

これにより,宇宙・環境観測などの応用分野において,将来的な大容量化に限界が見えてきた広帯域光通信における超高画質映画などの大容量の情報処理や,取得困難であったブラックホールのような現象等の測定が可能となることも期待される。

研究グループではこの成功によって,現在の電気的A/D変換の性能が限界を迎えた後の次世代技術確立が端緒についたとし,このA/D変換を情報の入口とする通信インフラの充実により,持続的な発展への寄与が期待されるとしている。

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