阪大、人工細胞を使って膜たんぱく質を「進化」させる技術を開発

科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究の一環として、大阪大学大学院情報科学研究科教授の四方哲也氏、工学研究科准教授の松浦友亮氏の研究チームは、人工細胞を用いて膜たんぱく質を実験室で「進化」させることに成功した。

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たんぱく質合成に必要な物質を内封した細胞サイズの人工脂質二重膜小胞(リポソーム)内で、遺伝子から膜たんぱく質を合成することにより、その人工細胞膜上に膜たんぱく質が組み込まれることを見いだした。さらに、人工細胞の外部から内部へ物質が取り込まれるという膜たんぱく質の活性も確認できた。

次に、膜たんぱく質の遺伝子に変異を導入した集団の中から、より機能の高い膜たんぱく質をコードする遺伝子を選択してくることに成功。この手法を用いることにより、膜たんぱく質の1つであるα-ヘモリシンの機能を野生型よりも約30倍も人工的に「進化」させることに成功した。この高機能α-ヘモリシンは、これまでに開発されているα-ヘモリシンを利用したDNA配列解析装置の高性能化へつながることが期待される。

さらに、「リポソームディスプレイ法(liposome display)」と名付けたこの手法は、さまざまな膜たんぱく質に適用可能で、ある特定の物質を高い選択性で透過させる膜たんぱく質を用いた高性能バイオセンサーの創出や、膜たんぱく質に強く結合することによりその機能を阻害する新たな薬の発見など、多方面への波及効果が期待される。

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