阪大、次世代がん治療装置(BNCT装置)を開発

大阪大学と住友商事は、難治療性のがん治療に革新的な効能を有する、ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)分野において、世界で初めて低被ばくで病院に併設可能な実用的装置の開発に成功した。BNCTは、ホウ素の中性子と反応しやすい性質を利用し、ホウ素を取り込んだがん細胞に中性子を照射することにより、がん細胞のみを選択的に内部から破壊する最新の治療法。

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同グループは、液体リチウム方式によるBNCT装置の実用化に向けて研究・開発を進めてきた。今回、実用機のプロトタイプモデルを製作し、バーミンガム大学にて性能評価試験を行なったところ、治療に必要な中性子線量を十分に得ることができ、且つ不要な放射線による被ばくが非常に低いことを確認した。

中性子線の発生には固体のベリリウムを使用する事例があるが、同グループでは、液体リチウムを使用することで、BNCTに最適な低速中性子線を得ることに成功した。人体への全身被ばく量は、地上の自然放射線量の年間最高値と同程度と画期的に小さく、他グループが開発中のBNCT装置に比べて格段に低く抑えられており、正常細胞に与える影響を極小化できることから、複数照射や適用可能な患者の範囲を広げることが期待される。

今後、同グループは、BNCT設置を考える国内の病院と協力し、2014年には、実用1号機の製造を開始し、2016年頃には、許認可申請を行なう予定。さらに、欧米の病院や大学とも協力し、欧米医療機関への許認可取得も視野に入れ、液体リチウム方式によるBNCTの確立を目指す。

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