京大、膵島細胞と間葉系幹細胞の融合細胞を用いた糖尿病治療実験に成功

京都大学再生医科学研究所准教授の角昭一郎氏、研修員の柳井伍一氏らの研究グループは、膵島細胞と間葉系幹細胞の融合細胞が糖尿病治療に有望であることを世界で初めて発見した。

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ラットの膵島細胞と間葉系幹細胞の電気的細胞融合法を確立し、この融合細胞を用いて研究を行なった。一般に膵島細胞は通常の培養状態では数日で機能を失うが、融合細胞は20日の培養後も膵島機能(ブドウ糖反応性インスリン分泌)を維持した。同系糖尿病ラットへの移植実験では、単独あるいは間葉系幹細胞と混合しても治療効果が無い量(1,000個)の膵島から作成した融合細胞の移植により、次第に増強する移植効果(血糖低下)が3ヶ月にわたって確認された。また、遺伝子発現を解析したところ、融合細胞では膵島細胞の核と間葉系幹細胞の核が相互にリプログラミングされており、膵島細胞の内分泌機能と間葉系幹細胞の強靱さを併せ持つ細胞を作成することが可能となった。

この研究成果を活用すれば、より少量の膵島をより効果的に利用する、従来の膵島移植に代わる、新しい重症糖尿病治療法が開発できるものと期待される。

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