安藤ハザマ、NTT、1Finityの3社は、IOWNのオールフォトニクス・ネットワーク(APN)を活用し、山岳トンネルの建設現場における遠隔施工管理の実証実験を行なった(ニュースリリース)。1,000kmの長距離通信を模擬した環境で、トンネル坑内の高精細映像や3次元計測データを伝送し、4K映像を利用して幅0.2mmのひび割れを遠隔から確認できることを実証した。

山岳トンネルの建設現場では、人手不足や熟練技術者の高齢化に加え、掘削の最前線となる切羽付近での作業に伴う安全上の課題がある。一方、遠隔施工管理には高精細な映像やレーザースキャナで取得した大量の3次元計測データを安定して伝送する必要があり、従来のネットワークでは通信容量や伝送品質が課題となっていた。
今回の実証実験は、東海北陸自動車道の椿原トンネル4車線化工事で2026年3月に実施した。トンネル坑内に全長1,100mの光ファイバケーブルを敷設し、6台の光伝送装置を設置。粉塵や振動、湧水などが発生する環境に対応するため、通信機器をIP65規格に準拠した収容箱内に設置した。
この坑内光通信ネットワークと、1,000kmの長距離通信を模擬したIOWN APNの環境を組み合わせ、遠隔施工管理に必要な通信性能を検証した。その結果、光通信ネットワーク区間ではパケットロスが発生せず、通信遅延のばらつきを示すジッタは100ナノ秒以下を維持し、24時間以上の連続稼働を確認した。
また、15台のカメラに相当する映像監視データを継続して伝送しながら、レーザースキャナで取得した約20GBの3次元計測データを、トンネル坑内から現場事務所まで約1分間で送信することに成功した。複数箇所の映像監視と大容量計測データの伝送を両立できることを確認した。
さらに、坑内の通信機器と移動機器との接続には、60GHz帯の無線通信規格WiGigを使用した。通信機器の設置間隔に相当する100mの距離や遮蔽物がある条件でも、ひび割れの目視確認に必要な通信帯域を確保した。
遠隔検査では、APN、坑内光通信ネットワーク、無線通信を組み合わせ、1,000km離れた拠点を想定した通信環境を構築。4K映像と音声を伝送し、遠隔地から現場の作業員とやり取りしながら、トンネル坑内の幅0.2mmのひび割れを確認した。また、AIによる画像解析でもひび割れの検出に成功した。

今回の成果により、高精細映像を用いた遠隔検査と、レーザースキャナによる3次元計測データの迅速な共有を組み合わせた施工管理の実現可能性が示された。
今後は、複数のトンネル現場や遠隔オフィス、データセンターを実際のIOWN APNで接続する運用トライアルを進める。2027年度以降の段階的な実運用に向け、遠隔監視やAI解析、デジタルツイン、施工自動化などへの適用を検証し、建設現場の安全性と生産性の向上を目指す。





