マイクロレンズアレー露光システム(ブイ・テクノロジー)と可変開口マスクを用いた露光システム(大日本スクリーン製造)


1. マイクロレンズアレー露光装置の概要

図1 マイクロレンズアレー露光装置の概要1)
図1 マイクロレンズアレー露光装置の概要1)

マイクロレンズアレー(Micro Lens Array:MLA)を用いた露光装置は,㈱ブイ・テクノロジー(ブイ・テクノロジー社)が2011年に新しいスキャン方式の露光装置として提案した。図1は,マイクロレンズアレーのスキャナー露光装置の概要を示す1)。光源としては水銀ランプを用い,露光波長はg+h+i線のUV光である。フォトマスクからのパターン化された光束は,マイクロレンズアレーの個々の微小レンズによって光束を分離した後,ガラス基板上のフォトレジストに照射される。マイクロレンズアレーに対して一方向にスキャンすることで,フォトマスク全面を照射できるといった特徴がある。フォトマスクとガラス基板のギャップは4.6 mmに設定されている。このギャップの1/2の位置に厚さ4 mmのマイクロレンズアレーがセットされている。即ち,フォトマスクとマイクロレンズアレー並びにマイクロレンズアレーとガラス基板間は夫々0.3 mmとなる。

2. マイクロレンズアレーの構造

図2 (a)マイクロレンズアレーの構造,(b)レンズ開口形状とサイズ1)
図2 (a)マイクロレンズアレーの構造,(b)レンズ開口形状とサイズ1)

マイクロレンズアレーは図2(a)で示すように,4枚の石英プレートが積層された構造である。即ち1 mm厚の石英プレートが4枚積層されている1)。これは対となる2枚のプレート上のレンズによる反転像を2セット組み合わせることで正立像を得るためである。マイクロレンズアレーの倍率は1:1である。各石英プレートには図2(b)で示されているように,130 μmφのレンズが150 μmピッチで配列されている。各レンズには6角形の開口領域が正確に配列されている。図2(b)で示されているように,六角形の開口部から出射した光束同士が20 μmの重なりでレンズ全体が均一な露光量となるように設計されている。

3. マイクロレンズアレー露光装置の開発

2011年の開発当時の評価機は,370 mm×470 mmのガラス基板対応であった1)。この評価機は2.5 μmの解像力(ラインアンドスペース)性能を有していた。孤立パターンとしての5.5 μmフォトスペーサーを形成できる能力があった。2015年にはマイクロレンズアレープレートを凹状に変形することで,倍率補正機能が付与された2)

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