レーザー光の特徴は?

図2-2 パルス
図2-2 パルス

電球のように定常的に光を発しているレーザーもあれば,瞬間的に光を発するレーザーもあります。日常よく見るレーザーとしては,定常的なものの方が多いでしょう。これを「連続発振レーザー」と呼びます。連続発振レーザーでは,図2-1の波がずっと続いているのです。一方,ある瞬間だけ,光を発するレーザーのことを「パルス発振レーザー」と言います。

エネルギーが同じであれば,パルス幅が短くなればなる程,ピークパワーが高くなります。最近のレーザー技術の進歩によってフェム卜秒(fs=10-15s)の極めて短いパルスの発生が可能になりました。その結果,極めて高いピークパワーを持ったパルスの発生が可能となっています。簡単に言えば,パルスの持つ全エネルギーは,図2-2の波形の面積に相当し,ピークパワーは頂点の光強度に相当することになります。ところで,パルスエネルギーの全エネルギーはジュールの単位で計り,ピークパワーはワットで測りますが,互いの関係は

ジュール=ワット×秒

です。

レーザーの出力パワーは,極めて大きな範囲にわたっています。小さなものでは1ミリワット(1 mW=1/1000 W)から,大きなものでは1キロワット以上のもの(1 kW=1000 W)まであります。小さな半導体レーザーでは,数Wを出すのがやっとですし,炭酸ガスレーザーでは数十kWなんて簡単に出せます。必要なパワーに応じてレーザーの種類を選ぶ必要があります。


図2-3 レーザー光の特徴
図2-3 レーザー光の特徴

図2-3にレーザー光の特徴を1枚の図にまとめてあります。次々回から,このような特徴がどこから出てくるのかについてお話しします。

宮崎大学・名誉教授 黒澤 宏

 


黒澤 宏
黒澤 宏
執筆者紹介
黒澤 宏(くろさわ こう)
大阪府立大学工学部博士課程を経て1976年より同大学助手,助教授を経て1991年より宮崎大学工学部電気工学科教授,その後2007年9月に大学教員生活に終止符を打ち,(独)科学技術振興機構JSTイノベーションサテライト宮崎の館長に就任し,地域における産学官連携業務に専念。現在は(一社)九州産業技術センター 成功報酬型事業化支援制度・専任コーティネータを務めている。レーザーEXPOにおいては,2003年から主に基礎部門の講師を務めており,初心者にわかりやすくレーザーについて解説している。


同じカテゴリの連載記事

  • 新しいレーザー
    新しいレーザー 黒澤 宏 2016年12月20日
  • レーザービームを繰る-波長変換
    レーザービームを繰る-波長変換 黒澤 宏 2016年11月11日
  • レーザー光を操る-偏光
    レーザー光を操る-偏光 黒澤 宏 2016年10月25日
  • 半導体レーザー(その二)
    半導体レーザー(その二) 黒澤 宏 2016年10月19日
  • 半導体レーザー
    半導体レーザー 黒澤 宏 2016年10月04日
  • 半導体レーザーの基礎と実際
    半導体レーザーの基礎と実際 黒澤 宏 2016年09月21日
  • ファイバーレーザー
    ファイバーレーザー 黒澤 宏 2016年09月12日
  • 波長可変固体レーザー
    波長可変固体レーザー 黒澤 宏 2016年09月05日