ガラスの可能性を広げる,SCHOTTの半導体向けソリューション

光性構造化ガラス「FOTURAN Ⅱ」は紫外光により結晶化するリチウムアルミノ珪酸系ガラスで,材料として少量の銀と酸化セリウムを含んでいる。

このガラスは,紫外光でパターンを照射して熱処理を行なうことで結晶化する。結晶化した部分は周囲と比べてフッ化水素酸との反応が早まることから,エッチングが可能になる。このプロセスにより,フォトレジストを使わずに微細構造を形成することができるのが売りだ。

特に,20〜30 μmオーダーの構造を高いアスペクト比で作ることができるのが特長で,レーザーをガラス内部に集光させることで中空構造を作ることも可能だという。また,必要に応じて構造を形成した後にガラス全体をセラミックス化することもできる。

応用として,これまではバイオ向けのマイクロ流体チップなどが主だったが,最近では半導体や電子部品への応用として,インターポーザーをはじめとする基板や,金属アンテナを埋め込むRF部品への実績があるほか,光の透過率も高いので,光導波路や光インターコネクトなどにも適しているとしている。

同社ではこの製品の先代モデルを約30年前から発売をしているが,今回製法を見直し,るつぼでの溶融から連続溶融へと切り替えることで,従来製品よりも感光材料の均一性が高い製品とすることができた。

露光に必要な紫外光の波長は290〜330 nm,特にエネルギーが入りやすいのが320 nmだとしている。専用の装置は必要とせず,液晶向け露光装置などを流用することができる。この製品はウエハーまたはシート状で提供される。ウエハーは最大12インチ,シートは200 mm以下。厚さは要望に応じるが,ハンドリングを考えると0.5 mm以上が標準的となっている。

同社では,この製品が今後特に半導体やMEMS向けに伸長するとにらむ。フォトレジストを使わずに済み,少ない工程で加工ができるので,これら以外でも多くの分野での応用を期待している。研究室など露光装置を持たない顧客に対しては,受託加工も含めたビジネス展開も視野に入れているという。◇

(月刊OPTRONICS 2016年5月号掲載)