理研ら,ガンマ線を放出する非束縛状態を発見

理化学研究所(理研)をはじめとした11カ国の研究者による国際共同研究グループは,理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」を用いて中性子過剰なスズ-133(133Sn,陽子数50,中性子数83)原子核の励起準位を調べたところ,「非束縛状態」であるにも関わらずガンマ崩壊が起こるという現象を発見した(ニュースリリース)。

原子核を徐々に励起していくと,核子(陽子や中性子)が束縛されるか・されないかの限界に達する。この限界を超えると原子核は非束縛状態になり,強い相互作用により核子を放出して崩壊する。

一方で,限界を超えない場合には核子は放出されず,電磁相互作用によりガンマ線を放出してエネルギーの低い状態に遷移するガンマ崩壊が起こる。強い相互作用の強さは電磁相互作用に比べて約10,000倍も大きいため,非束縛状態が脱励起するときは,電磁相互作用によるガンマ崩壊はほとんど起こらないと考えられていた。

今回,国際共同研究グループは,RIBFで光速の約70%となる核子当たり345メガ電子ボルト(MeV)に加速された大強度のウラン(238U)ビームを用いた核分裂反応により,放射性同位元素(RI)のスズ-134(134Sn,陽子数50,中性子数84)をビームとして取り出した。この134Snビームを炭素標的に照射して133Snを生成し,133Snから放出されるガンマ線のエネルギーを高効率ガンマ線検出器(DALI2)で測定した。

その結果,検出されたガンマ線のエネルギーは133Snが束縛されるか・されないかの励起準位の閾値の2.4MeVよりも大きい3.6MeVであることが分かった。今回発見した現象は133Snが非束縛状態であるにも関わらず,強い相互作用と拮抗して電磁相互作用によるガンマ崩壊を起こすという,これまでの常識とはかけ離れた現象。

この成果は,宇宙での重元素合成過程(r過程)のシナリオに影響を与えるもの。これまでの理論モデルでは,中性子過剰核の非束縛状態からの脱励起には中性子放出過程のみが考えられており,今回のようなガンマ線放出過程は含まれていなかった。今後もRIBFで非束縛状態の研究が進むことで,これまでの常識を覆す新しい成果の創出が期待できるとしている。

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