三菱化学ら,中国でLED特許の有効性を確認


三菱化学と物質・材料研究機構(NIMS)は4月21日,両者が共有する,LED用として広く用いられる赤色蛍光体に関する中国特許3件について,中国の煙台希爾徳新材料有限公司(Shield社)が特許復審委員会に請求していた無効審判において,同委員会がShield社の主張を全面的に退けて特許の有効性を認めたと発表した(ニュースリリース)。

この特許は,通称CASN,SCASN又は1113蛍光体と呼ばれる窒化物系の赤色蛍光体およびそれを用いたLED,照明器具やLCDバックライト等を広くカバーする基本特許。

三菱化学が製造販売しているCASNおよびSCASN蛍光体は,高い輝度と信頼性からLED用として最も広く使用されている赤色蛍光体であり,LEDメーカー各社より多くの支持,評価を得ているという。

同社は2015年1月23日付で,Shield社が本特許を侵害しているとして,中国における蛍光体製品の生産および販売等の侵害行為の差し止めと損害賠償を求める訴訟を深圳(セン)市中級人民法院に提起している。

この特許侵害訴訟は現在審理中だが,今回,当該特許の有効性が特許復審委員会により認められていることから,今後の同訴訟の迅速な進行が期待されるとしている。

今回の決定は,長年中国で積極的に投資,事業展開を行なってきた同社にとって重要な知的財産の有効性が法により改めて認められたもので,これにより引き続き蛍光体産業の健全な発展と秩序維持に貢献できるとしている。