JAMSTEC,アラウンドビューモニタを用いた海底ロボを開発

海洋研究開発機構(JAMSTEC),日産自動車(日産),トピー工業は,内閣府が進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の課題の一つである「次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画)」において,JAMSTECが開発する高効率海中作業システムに必要な要素技術の一つとして,JAMSTECとトピー工業が共同で開発を進める推進システムの要素試験機に,日産のアラウンドビューモニタ技術を応用するため,2014年12月1日付で共同開発契約を締結した(ニュースリリース)。

日本の広大な排他的経済水域(EEZ)には,海底熱水鉱床等の有望な鉱物資源の存在が知られているが,その広大な海域を効率よく調査する技術は開発途上にある。こうしたなか,「次世代海洋資源調査技術」の実施機関であるJAMSTECでは,SIPの枠組みのもと,既存の遠隔無人探査機(ROV)に装着可能な高効率海中作業システムの開発に取り組んでおり,クローラロボット開発メーカのトピー工業の協力を得て多点コアリングシステムに必要となるクローラの開発を進めている。

クローラ式を採用することにより,起伏のある海底面でも安定した状態でサンプリング調査を行なうえるが,母船上の管制室からこのROVを遠隔操作する際,視野の狭い従来のカメラを用いたシステムでは多数のカメラ画像を同時に見比べる必要があり,クローラ周りの起伏のある海底の状況が把握できず,クローラ装着のROVのオペレーションが不可能だった。

そこで,JAMSTECでは,日産が開発した,立体的な映像処理機能を加えた新たなアラウンドビューモニタ技術の活用を検討してきた。この技術と障害物までの距離を正確に計測するセンサを組み合わせることにより,ROV搭載カメラの映像を用いるだけで,あたかもROV自身を客観視する様な映像をリアルタイムで表示することが可能となる。これにより,海中作業効率の大幅な改善が期待できる。

今後,平成30年頃までに要素試験機の実海域試験を行ない,海洋鉱物資源調査での実用化を目指し,必要な技術の開発を進めていく。また,この開発のように民間と協力した技術は,民間への技術移転が容易であり,日本の海洋資源調査に早期に役立てられると期待されるとしている。

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