東芝,放射線医学総合研究所から重粒子線がん治療用照射システムを受注

東芝は,放射線医学総合研究所(放医研)から,重粒子線がん治療装置における超伝導磁石を搭載した回転ガントリーおよび治療室の室内機器の製作を受注した。重粒子線治療装置に超伝導磁石を採用したのは世界初で,重粒子線治療室に回転ガントリーを導入する国内初の事例となる。

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今回受注したのは,既設のビームラインを延長するビーム輸送系機器,「回転ガントリー」と呼ばれる装置本体と搭載機器,スカラーアーム型治療台をはじめとする室内機器で,放医研の新治療研究棟に新たに設置する。納入は2015年3月の予定。

回転ガントリーは,粒子線を輸送するための電磁石を搭載した回転構造体。患者を中心に360度回転し,重粒子線を任意の方向から照射できるので,従来の水平・垂直の2方向からの照射に比べて治療範囲が格段に広がるほか,患者自身のからだへの負担軽減も期待できる。

ビーム粒子として炭素イオンを用いる重粒子線治療装置では,粒子線を輸送,制御するための装置が非常に大型となるのが課題だったが,高磁場を発生させる超伝導磁石を採用することで,常伝導磁石を用いた従来の回転ガントリーと比べ,大幅な小型化・軽量化が可能となった。また,この超伝導技術の採用は,省エネ化につながる点でも注目されている。

重粒子線治療は,炭素イオンを光の速さの約70%まで加速してがん細胞に照射する放射線治療。体の深いところにあるがんにピンポイントで照射できるため,周りの正常な細胞を傷つけにくく,陽子線治療など他の放射線治療と比べてがん細胞を殺傷する能力が強いという特長がある。

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