きらり 「きらり」という言葉は妙に人を惹きつけるらしい。実際には,「きらりと光る〇〇」とか,「きらりと輝く〇〇」というような使い方が普通だ。「きらりと光る朝露」だとか,「きらりと光る涙」なんていうフレーズは,ありふれてはいるけれ […] 2017年09月22日 ひかりがたり
揺らめく光─デルフトの風景─ ヨハネス・フェルメールという画家が,今やブームというくらいの大人気である。ブームの原動力となる作品といえば「真珠の首飾りの少女」だろう。この絵については,「輪郭線がなく反射光のみで表現された真珠」とか,「みずみずしい唇」 […] 2017年08月24日 ひかりがたり ひかりがたり 第53話 著者:月谷昌之介
空の上のブロッケン 飛行機に乗るときに座席をどこに確保するか,ということは旅の快適性を左右する重大な問題だ。景色の見える窓側か,トイレなどに立ちやすく片側が解放されれている通路側か,はたまた少しでもエンジン音が少ない翼の前方席を何が何でも確 […] 2017年07月12日 ひかりがたり ひかりがたり 第52話 著者:空の上のブロッケン
タイムトンネル 飛行機に乗るたびに,僕は地上の人とどれだけ時間の進みが異なるのだろうと考えてしまう。アインシュタインの特殊相対論によれば,たとえば東京−札幌を飛行機で往復すると,地上の人と比べておよそ2×10–9秒程度時間の進みが遅くな […] 2017年06月14日 ひかりがたり ひかりがたり 第51話 著者:月谷昌之介
地図を読む カーナビ(カーナビゲーション)が普及し始めてもしばらくの間は,僕はあえてそれを所有しなかった。どこかに出かけるときには道路地図を熟読してルートを決め,道が分からなくなれば一旦車を止めて地図を確かめ,あるいは助手席に座る同 […] 2017年05月22日 ひかりがたり ひかりがたり 第50話 著者:月谷昌之介
薄明光線って言えますか? 夕方になって西から急に暗い雲がのしかかってきた。随分と不吉な空模様だと思っていたが,不意に西側の雲の隙間から太陽の光が突き差してきて,モノトーンになっていた景色の中に高速道路だけをカラーで際立たせる。年のうちに何度も見な […] 2017年04月12日 ひかりがたり ひかりがたり 第49話 著者:月谷昌之介
陽炎で揺らめいて アスファルトの一本道に逃げ水が現れ,その向こうから空中に浮き上がった車がゆらゆらと揺れながらこちらにやってくる。よくある陽炎(かげろう)の光景だ。こんな印象が強いせいか,陽炎といえば真夏を思い出してしまう。特に最近は夏の […] 2017年03月09日 ひかりがたり ひかりがたり 第48話 著者:月谷昌之介
ヴィーナスのベルト? 12月に入ってから学会の研究会で沖縄の那覇に行ってきた。ほぼ弾丸スケジュールで,観光といえば修学旅行生だらけの首里城を見に行っただけだ。参加者のほとんどが大学の先生だから,こういうのが師走っていうのかな,仕方がないな,な […] 2017年02月13日 ひかりがたり ひかりがたり 第47話 著者:月谷昌之介
闇は見えるか? 夜中に目が覚めると,辺りは真っ暗でしんと静まり返っている。たまらなく闇が怖くなって部屋の明かりをつけようとする。僕は起き上がって手探りで電灯のスイッチの紐を探してみるのだが,なかなか見つからない。焦りが闇の恐怖を煽り立て […] 2017年01月19日 ひかりがたり ひかりがたり 第46話 著者:月谷昌之介
灯台に愛を 僕がまだ小学校の低学年のことだ。練馬にあった社宅に住む同学年の子が,東大病院で心臓の手術を受けることになった。幸い,手術は無事成功し,社宅の子供達で彼のお見舞いに行くことになった。まだ幼く無知だった僕は「トーダイ病院」と […] 2016年12月19日 ひかりがたり ひかりがたり 第45話 著者:月谷昌之介