光技術者として日々の研究にいそしむ著者が,これまでの経験や日常を通じて感じる光に関するあれこれを,肩ひじ張らずに綴る人気のコラム。その飄々としたキャラクターも魅力の一つです。

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ネオンサインの時代

「ネオン街」というのは,夜の歓楽街を指す魅惑の言葉だ。煌々と灯るネオンサインが,夜も眠らぬ街のシンボルだったことに由来するのだろう。でも,実際には,飲食店の多くを占める小規模のスナックやバー,居酒屋などには,ネオンサイン […]

心霊写真はなぜ怖い

世界で初めての心霊写真は,1860年代にアメリカの写真家ウィリアム・H・マムラーによって撮影されたものとされている。1839年に写真が発明されてから,わずか20年余り後のことである。マムラーが撮影した写真には,被写体とな […]

マルチプル・ハロ・ディスプレイとの遭遇

先日,正月明けに千歳から東京へ向かう午後の便で,僕が予約したのは東京へ向かって右手の窓側席だった。この席は,内陸の山々や猪苗代湖などの大きな湖を望むことができるものの,午後の日差しが顔に直接当たるため眩しく,暑い。だから […]

つららレンズ

氷柱というのは,垂れ落ちる水が凍って棒状に伸びる氷の柱のことである。これを「つらら」とひらがなで書くと,単なる物質ではなく,妖しいきらめきと儚さなどの情緒を含んだ言葉と感じてしまう。氷柱のない地方に暮らすようになってから […]

本当の風光明媚

静岡県小山町から山中湖へ向かう県道730 号線を車で走っていると,ススキが揺れる三国峠に差し掛かる。そこで突然,目の前に広がる壮大な風景に息をのむ。展望台からは,樹海の中に輝く山中湖,その左奥にそびえる富士山,さらに遠く […]

夕日と朝日どっちが赤いか

季節が冬に向かうにつれ,日の入りの時間が早くなった。数ヶ月前には,まだ太陽が容赦なくジリジリと照り付けていた時刻に,今では真っ赤な夕日が沈んでいく。すべてが赤く染まり,やがて暮れていく景色は夏にだってあったのだけれども, […]

虹の難易度

不精な僕にとっては,我が家のささやかな庭の手入れだって持て余し気味だけれども,朝夕の水撒きはほぼ欠かさない。庭の草花に対する気遣いというよりは,僕の目的は虹を見ることだ。晴れた日の朝夕に散水ノズルからシャワーを飛ばせば, […]

すでにマトリックス

いまや電車に乗って席を見渡せば,座っている人たちはみんな同じような姿勢でスマホのディスプレイを眺め,指を動かしている。老若男女問わず,その割合は十中八九といっても過言ではないだろう。スマホが普及していなかった頃の車内の様 […]

虹色の雲─彩雲か幻日か─

夏の盛りに,北アルプス後立山連峰の盟主,鹿島槍ヶ岳に登ってきた。数日前からの天気予報では雨で登山指数C(登山不適)ということだったけれども,すでに予定を入れていたので,景色を半ば諦めながらも,とりあえず行ってみることにし […]

罪作りなメタマテリアル

光屋であれば,「メタマテリアル」という言葉をよく目にするだろう。光のメタマテリアルとは,“光の波長よりも小さなサイズの構造体で,自然界には存在しない光特性を示す人工物”である。通常,物質の光に対する特性は,その物質を構成 […]