光技術者として日々の研究にいそしむ著者が,これまでの経験や日常を通じて感じる光に関するあれこれを,肩ひじ張らずに綴る人気のコラム。その飄々としたキャラクターも魅力の一つです。

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動体視力という視力

テニスのトッププロの試合では,打ち合いのストロークの速度が時速100 Kmを軽く超え,サーブに至っては時速200 Kmを超える速度で放たれる。そんな打球がライン付近でバウンドすると,訓練されたラインズマンでさえもセーフな […]

何かに見えるということ─パレイドリア─

子供の頃に住んでいた家では,夜になるとトイレの前の壁に,2 つの吊り上がった目と不気味な口が開く顔が現れた。それは,おそらく窓の外から射し込んだ街灯の光やその影が作り出した造形だったと思うのだけれども,僕はそれが怖くて, […]

にんじんケーキの彩りの謎

妻はにんじんケーキを偏愛している。毎週のようにケーキを焼き,毎朝ひと切ずつ食べていく。よくも飽きないものだと,僕は感心してしまう。にんじんケーキは,すりおろした人参に小麦粉,重曹,シナモンなどのスパイスを混ぜ合わせて焼い […]

油の虹は雨上がりに現れる

雨上がりに散歩をしていたら,道路の表面に虹色模様が広がっていた。車から漏れた油が膜になっているのだろう。濡れて黒ずんだ道路にアメーバのようにへばりつく虹はなんだか毒々しくて,僕はそれを「汚いもの」と感じてしまう。 でも, […]

光に関する忘れ物

15年ぶりに台湾の街,台北に行ってきた。日本からは至近だし,時差はたったの1時間だ。3度目の訪問ということもあり,「海外に行くぞ」という緊張感はない。 だからというわけではないが,今回の旅にはカメラ(ミラーレス一眼)とメ […]

金魚に騙される─立体という幻─

10月の最終日,札幌市郊外の札幌芸術の森には,北海道らしい色とりどりの紅葉と人工のオブジェによる魅力的な光景が広がっていた。その一角に建つ美術館では,深堀隆介氏の「水面(みなも)のゆらぎの中へ」という展覧会が開催されてい […]

アトを超えるもの

今年(2023年)のノーベル物理学賞は,「物質中の電子ダイナミクスを研究するためのアト秒パルス光の生成に関する実験手法」ということで,ピエール・アルゴスティーニ氏,フェレンツ・クラウシ氏,アンヌ・ルイリエ氏の3名への受賞 […]

白い虹

久しぶりに高い山に登りたくなって,南アルプスの北岳に行ってきた。中腹の白根御池小屋に1泊の日程だ。長期予報で天気の良さそうな日を選んだのだけれども,直前になって予報は雨に変わった。今さら日程も変えられないので,とりあえず […]

放射冷却─宇宙に熱を逃がせるか─

最近の夏はとにかく暑い。暑いから皆がエアコンを使うと,その排熱でますます地球温暖化が進むという悪循環である。もしも,溜まっている熱を,無限に広がる宇宙空間に自由に放出できればどんなに良いことかと考えてしまう。 最近,これ […]

陶器肌になりたいか?

美容の世界では,もう長い間「透明肌」というのが流行っているが,最近では「陶器肌」というものもクローズアップされて,この二つが憧れの肌の双極を成しているらしい。 どちらもムラのない整った肌であることには変わりがないのだけれ […]