ヴィーナスのベルト?

著者: 月谷 昌之介
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12月に入ってから学会の研究会で沖縄の那覇に行ってきた。ほぼ弾丸スケジュールで,観光といえば修学旅行生だらけの首里城を見に行っただけだ。参加者のほとんどが大学の先生だから,こういうのが師走っていうのかな,仕方がないな,などと妙に納得してしまった。それでも,夜に飛び込みで入った居酒屋では,美味しい郷土料理と沖縄民謡のライブで見知らぬお客さんたちと大いに盛り上がったから,実は沖縄が大好きになってしまったのである。

窓側を確保した帰りの飛行機からは,たっぷりと夕暮れショーを楽しむことができた。すでに赤くなりかけた太陽が雲海の襞を際立たせる景色は荘厳という言葉そのものである。飛行機が少しだけ旋回し,太陽とは反対側の空が見えてくる。上空はまだ明るい青で,それと対照的に地表付近の空はくっきりと青黒く帯状に暮れている。そして,その明と暗の境界には薄赤い帯が伸びている。地表付近の暗い帯は大気に映る地球の影で,その名も「地球影」である。そして,そのすぐ上の薄赤い帯は「ヴィーナスベルト」と呼ばれている。

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