光技術者として日々の研究にいそしむ著者が,これまでの経験や日常を通じて感じる光に関するあれこれを,肩ひじ張らずに綴る人気のコラム。その飄々としたキャラクターも魅力の一つです。

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金魚に騙される─立体という幻─

10月の最終日,札幌市郊外の札幌芸術の森には,北海道らしい色とりどりの紅葉と人工のオブジェによる魅力的な光景が広がっていた。その一角に建つ美術館では,深堀隆介氏の「水面(みなも)のゆらぎの中へ」という展覧会が開催されてい […]

アトを超えるもの

今年(2023年)のノーベル物理学賞は,「物質中の電子ダイナミクスを研究するためのアト秒パルス光の生成に関する実験手法」ということで,ピエール・アルゴスティーニ氏,フェレンツ・クラウシ氏,アンヌ・ルイリエ氏の3名への受賞 […]

白い虹

久しぶりに高い山に登りたくなって,南アルプスの北岳に行ってきた。中腹の白根御池小屋に1泊の日程だ。長期予報で天気の良さそうな日を選んだのだけれども,直前になって予報は雨に変わった。今さら日程も変えられないので,とりあえず […]

放射冷却─宇宙に熱を逃がせるか─

最近の夏はとにかく暑い。暑いから皆がエアコンを使うと,その排熱でますます地球温暖化が進むという悪循環である。もしも,溜まっている熱を,無限に広がる宇宙空間に自由に放出できればどんなに良いことかと考えてしまう。 最近,これ […]

陶器肌になりたいか?

美容の世界では,もう長い間「透明肌」というのが流行っているが,最近では「陶器肌」というものもクローズアップされて,この二つが憧れの肌の双極を成しているらしい。 どちらもムラのない整った肌であることには変わりがないのだけれ […]

湖は本当に鏡になったのか

北海道の支笏湖は,札幌の近郊にありながら原始の雰囲気が漂う湖だ。先日,札幌に帰省した際の最終日に,僕はレンタカーを駆って支笏湖を経由して千歳空港に向かった。季節は初夏。山々には北海道特有の清々しい緑が映え,車の窓を開けれ […]

街灯の影の異変

街灯というものに,都会の人ならば賑やかな通りを照らすお洒落で華やかな光を思い浮かべるかもしれないが,田舎暮らしの僕にとって街灯といえば,薄暗い道を照らす道標のような存在だ。もちろん,夜道では頼りになる存在ではあるけれども […]

五色の亀に連れられて─妄想浦島─

浦島太郎は,日本人ならば子供から大人まで知らぬ人はいない定番の昔話だ。幼稚園などでは,今でも発表会で幼い児童たちが浦島太郎や乙姫様,亀,そして踊る鯛やヒラメなどを無邪気に演じているようだ。しかし,誰しも大人になるにつれて […]

花粉光環の品位

今年の春は,飛散する花粉の量が近年では最も多いそうだ。なるほど,自宅に置いてある車は粉をたっぷりとかぶって薄緑色に変色している。 近隣の車も同様だから,我が家だけが洗車をサボってこうなったわけではない。見上げれば晴れだと […]

メコンの余韻

ラオスの古都,ルワンパバーンに行ってきた。町全体が世界文化遺産に指定されている仏教の町だ。今回の旅の一番の目的は,メコン川をゆっくりと眺めることである。特に理由があるわけでは無いのだけれども,ただ何となくメコン川を眺めた […]