国立天文台、星・惑星の誕生領域の赤外線のかたよりを観測

総合研究大学院大学・国立天文台・東京大学・名古屋大学・京都大学などの研究者を中心とする研究チームは、「猫の手星雲」(NGC 6334)と呼ばれる星・惑星形成領域を赤外線で観測し、22%という高い円偏光を検出することに成功した。これは、これまでに報告された赤外線円偏光のうち最大の値。

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さらに研究チームは、世界で初めて系統的に星・惑星形成領域の円偏光を観測し、同様の円偏光を合計9つの星・惑星形成領域において検出した。つまり、円偏光は星・惑星形成領域で普遍的な現象と言えそうである。この円偏光のデータにより、従来の手法では難しかった原始星周辺の磁場構造の情報を得ることができるようになった。

「大きな円偏光は生命のアミノ酸のかたよりの原因であり、宇宙におけるアミノ酸のキラリティー(結合の組み換えなしに分子をそれ自身の鏡像に重ね合わせることができないという性質のこと。このような分子は、左手と右手のように互いに鏡像である一対の立体異性体をもち、アミノ酸については、それぞれ左手型と右手型に分類されている。一般的な条件で合成されるアミノ酸は左手型と右手型がほぼ等量となるが、地球上の生命におけるアミノ酸は、左手型にかたよって存在している。このような状態をホモキラリティーと呼ぶ。)を引き起こす」という仮説があるが、今回、この研究チームによって世で初めて円偏光の普遍性が発見されたことは、この仮説をサポートするものと考えられる。

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