LED/有機EL照明,「多様化」したラインナップで差別化を

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進化する多様化したLEDパッケージで差別化を狙うLED照明市場と,オランダ フィリップスと韓国 LG Chem社が牽引する有機EL照明で次のフェーズへ戦いを挑む企業群─ これを印象付ける展示会が2014年3月30日~4月4日にドイツ フランクフルトで開催された。

「Light+Building2014(ライトアンドビルディング2014)」で,展示製品はチップ,パッケージのような川上の製品からシステムコントロール,ビルディングシステムまで実に幅広い製品が出展された。筆者は川上産業の立場から展示品のトレンドについてパッケージと有機EL照明の動向についてまとめた。

「Light+Building2014」で出展されていた照明器具製品については差別化が難しいフェーズに入っているようだが,パッケージ技術も差別化が難しくなっている。その中で,今回,LEDパッケージ製品に注目した。これまでLEDパッケージは明るさの差別化が主流であったが,今回,LEDチップの極小化,鮮やかな色の表現,次世代コンセプト製品の方向性が示され,ユーザニーズに応える製品が並んだ。LEDパッケージが多様化することにより,照明器具メーカーのデザインもさらなる多様化が可能となる。

ユーザニーズに応える多様化した製品とは,屋内,屋外,大光束製品,高効率製品,光演色性など照明を利用するシーンごとに必要な製品が変ってくるが,これまでは屋外から屋内までLEDパッケージは同様のシリーズを転用することもあった。産業が成熟に向かうに従って,シーンに合った製品を提供ができるようにパッケージメーカー各社はラインナップを充実させてきている。開発競争が激しさを増す中,使用シーンにあったラインアップの多様化に対応できる出来る企業と出来ない企業との差が出てきており,その差は今後ますます広がりそうだ。

有機EL照明についても,これまでは技術展示やコンセプト展示がメインであったが,実売に向けた動きを本格化させてきた感がある。特に韓国LG Chem社は欧州の照明メーカーと強力なタッグを組み,商品展開において存在感を見せ,ブースには多くの人が溢れかえっていた。また,欧州大手照明メーカーであるフィリップス・ライティングも高い発光効率を誇り,主光源として利用できる範囲まで近づけさせた「FL300」(300 lm,9000 cd/m2)の製品を今回披露した。

日本メーカーも三菱化学/パイオニアのように有機ELならではの商品デザインを見せ,コニカミノルタの超薄型でフレキシブルな有機ELパネルにも関心が高く,他社に比べ比較的狭いブースながらも,関心を持つ来場者で溢れかえっていた。価格の問題など様々な課題をいまだ持ち合わせる有機EL照明であるが,今年,各社が見せる戦略に注目したいと深く感じる展示会となった。

このように今回,広大な会場で「何か新しいもの」を探す来場者は自然と有機EL照明の今後の可能性について注目していたように感じた。

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