成長期の「棚からぼた餅」

(新幹線はユーザーニーズで走らない)

市場成長の時間経過を,黎明期・成長期・成熟期・衰退期として捉えることがあります。この変化を,製品の普及を支える代表的なユーザー特性から捉えることもあります。黎明期に対応するのがイノベーターで成長期に対応するのがアダプターです。

製品概念自体に新規性があるような発見的性格の強い開発の場合には,ユーザーニーズが開発の発端ではないことも少なくありません。いわば,開発者自身やその上司や同僚が先進的ユーザー,つまりイノベーターとなっている場合です。

これに関連して歴史的に有名な表現が,「新幹線はユーザーニーズで走らない」です。ユーザーからの要求というより,開発者側の長い期間にわたる強い思いが新幹線実現の直接的背景であったことは有名な話です。

(黎明期の到来)

黎明期以前,つまり開発段階については,魔の川,死の谷,ダーウィンの海と分けて捉える考え方があります。魔の川,死の谷は製品の研究開発が行われている段階で,ダーウィンの海からが黎明期です。ここからやっと,市場での製品競合が始まります。

開発対象の技術にとっては,黎明期を迎えることだけでも大変です。芸能界では,デビューはしても最終的にタレントとして活躍を続けられるのはごく一部の人です。技術についてもおなじようなことがいえそうです。

開発プロセスを,必要とされる投資規模で捉えると,黎明期に入るとそれまでと格段に大きな投資規模になります。だからこそ,この段階での開発の継続か否かの選択は大事です。死の谷を超えた開発成果のすべてをダーウィンの海へ進めるわけにはいきません。

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