日亜,深紫外LEDでアルファ株の不活化を確認

著者: sugi

日亜化学工業は,深紫外LED(ピーク波長280nm)の新製品「NCSU434B」の量産を,2021年9月から開始した(ニュースリリース)。

この製品は,サイズが3.5㎜角と小型で,同サイズにおける深紫外LEDとしては業界最高クラス(同社調べ)の電力変換効率と放射束を有するとする。

この特長を活かした高密度実装では,単位面積当たりの放射束が従来品の約3倍となり,新型コロナウイルスをはじめとした各種ウイルスの不活化や細菌の除菌用途として,これまで以上に様々なアプリケーションへの展開が可能になると見込んでいる。

この製品を用い,日立造船と長崎大学が,マイクロ飛沫状の新型コロナウイルス(アルファ株,英国型変異株)の不活化実験を実施した結果,1回通過させる(ワンパス)試験において,約1mJ/cm2の積算光量により感染価が1/10以下(ウイルス生存率4.5%)となることを確認し,マイクロ飛沫状の新型コロナウイルスに有効だと言えるとしている。

実験を行なった長崎大学教授の安田二朗氏は「深紫外線の不活化メカニズムはウイルスRNAの直接変性によるものなので,現在,猛威を振るっているデルタ株をはじめ英国株以外の新型コロナウイルスの変異株にも同等の効果が期待できる」とコメントしているという。

キーワード:

関連記事

  • 徳島大ら,水銀フリープラズマ方式遠紫外線光源開発

    徳島大学と紫光技研は,水銀フリーで,生体への安全性と殺菌効果を両立したプラズマ方式遠紫外線(far-UVC)光源を開発し,その殺菌及びウイルス不活化効果を実証した(ニュースリリース)。 光波長200~230nmのfar-…

    2025.06.25
  • 四国化工機,深紫外線LEDを登載した充填機を開発

    四国化工機は,日亜化学工業が製造する深紫外線LED(UV-C LED)を使用したUV-C LED殺菌装置の開発について,装置化と検証が完了し,このLED殺菌装置を搭載した充填機を発売する(ニュースリリース)。 四国化工機…

    2025.05.16
  • 日亜ら,紫外放射照度計校正の標準光源LEDを開発

    日亜化学工業は,産業技術総合研究所と紫外放射照度計校正の標準光源となる標準LEDを開発し,販売を開始した(ニュースリリース)。 殺菌,探傷,樹脂硬化などに使用するUV光源は,従来は水銀ランプが使用されていたが,昨今はUV…

    2025.04.24
  • NICTら,深紫外LEDで鉄道車両を省電力で空気殺菌

    情報通信研究機構(NICT)と旭化成は,発光波長265nm帯の高強度深紫外LEDを搭載した鉄道車両用空気殺菌モジュールを開発し,静岡鉄道の実運行中の鉄道車両内への搭載を実証した(ニュースリリース)。 深紫外線による殺菌応…

    2025.02.14
  • 東北大ら,ウイルスの感染力を蛍光で簡便・迅速評価

    東北大学と名古屋大学は,エンベロープウイルス粒子の脂質膜に結合し蛍光応答を示す分子プローブ(M2-NR)の開発に成功した(ニュースリリース)。 ウイルス解析には,一般には抗体法とPCR法があるが,いずれもウイルス粒子構造…

    2025.01.28
  • 岡山大,テラヘルツ顕微鏡でコロナのタンパク質検出

    岡山大学の研究グループは,テラヘルツ波ケミカル顕微鏡を用いた微量検体中の新型コロナウイルス内に存在するNタンパク質の高感度検出に成功した(ニュースリリース)。 新型コロナウイルスの拡大では,感染者を特定するためにPCR検…

    2025.01.07
  • 公大,光濃縮技術により正確なウイルス計測を可能に

    大阪公立大学の研究グループは,抗原抗体反応を検出原理とする検査手法であるイムノアッセイに,光濃縮技術を取り入れた光誘導イムノアッセイ技術を新たに開発した(ニュースリリース)。 新型コロナウイルスやノロウイルスなど,ウイル…

    2024.06.28
  • 理研ら,波長228nmの遠紫外LEDで高効率動作を実現

    理化学研究所(理研),日本タングステン,埼玉大学は,人への安全性とウイルス不活化の効果がいずれも高い波長228nmのfar-UVC(遠紫外)LEDの高効率動作に成功した(ニュースリリース)。 波長が220~230nmのf…

    2024.06.20

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア