大日本印刷(DNP)は,ナノインプリント用の複数のテンプレート(パターン形成用の版)を高精度でつなぎ,大面積対応の部材の量産を可能にする「つなぎ合わせ技術」を開発した(ニュースリリース)。
ディスプレーや光学製品用の部材のほか,エネルギー関連やライフサイエンス関連の部材等で,ナノレベルのナノインプリントに対する大面積化の要望が高まっている。これまで数十nm単位のパターンによる超微細加工は,半導体製品用フォトマスク等の15センチ角程度のサイズに限られており,大面積に展開するにはテンプレートをつなぎ合わせる必要があった。
しかし,つなぎ目部分に段差が生じるという課題があり,この段差を数十nmに抑えたとしても,リソグラフィ用のレジストを用いたインプリントでは段差が影響して不具合が発生してしまうため,生産への利用は困難な状況だった。
DNPは今回,半導体製品用フォトマスクやナノインプリントリソグラフィ(NIL),超低反射フィルム,ナノメートルレベルのインプリントで培ってきた材料技術・加工技術・装置技術などを応用し,数十nmの超微細な凹凸のパターンを持つテンプレートを精度良くつなぐ技術を開発した。
従来テンプレートのつなぎ目部分で生じていた数十nmの段差をなくすこの技術を用いることで,フォトマスクやNILのテンプレートと同等の微細形状を持ったテンプレートを大面積化することが可能となる。また,リソグラフィ用のレジストを用いた大面積でのインプリントで生じていた,段差の影響による不具合も解決可能となったという。
この「つなぎ合わせ技術」は,超微細構造のパターンが要求されるディスプレー部材をはじめとするさまざまな部材に適用できる。例えば,超微細な凹凸形状を付与することで光の向きと強さをコントロールする機能性フィルムを提供できるが,この製造プロセスにこの技術を適用することで,従来方式と比べて生産性が向上するなどの効果が期待できるとしている。
また大面積での量産が可能となることによって,大型ディスプレーの省エネを実現し,地球環境保全にもつながっていく。このように,超微細構造を大面積で形成できる効果は大きく,同社は今回開発した技術を基に,大面積化対応設備の導入などを進め,この製品や「DNPナノインプリントソリューション」の販売に注力することで,2018~2020年度の3年間の累計で600億円の売上を目指す。
※記事掲載時,タイトルの会社名が間違っていました(現在は修正済)。