パナソニック,光触媒水浄化技術を開発

パナソニックは,顕在化する世界各地での水問題の解決のため,「光触媒水浄化技術」を新たに開発した(ニュースリリース)。「光触媒水浄化技術」とは,水中の有害物質を光触媒と太陽光に含まれる紫外線によって高速処理し,安全な飲料水をつくるもの。

紫外線が光触媒に当たると,活性酸素の働きにより有害物質が無毒化される。しかし二酸化チタンという光触媒粒子は非常に細かく,水中に直接混ぜ込むと回収が難かしい。そこで,別の物質に結合させる等の方法が採られてきたが,活性が損なわれるのが課題だった。

同社は今回,ゼオライトという粒子の表面に二酸化チタンを結合させた,新構造の光触媒粒子を開発した。この結果,光触媒は本来の活性を失うことがない。また,二酸化チタンとゼオライトは静電的な引力で結合されるため,結合剤などの化学物質も必要ない。

新構造の光触媒粒子を混ぜた水をかくはんすると,二酸化チタンはゼオライトから離れ水中に分散していく。この結果,タイルなどの表面に光触媒粒子を固定する従来の方法と比べると,反応速度が著しく上昇し,大量の水を短時間で処理することができる。かくはんを止めると二酸化チタンはゼオライトに再結合するため,容易に回収し再利用が可能となる。

光触媒は,駆動力が光であること,薬品は一切使わないことから,低コストで環境負荷もない。同社では,例えば光触媒水浄化装置を搭載したトラックで集落を回って水を供給するほか,現地の水道事業者と提携して水処理施設の建設,企業への技術供与も考えている。インドをはじめとする新興国に普及を図るため,メンテナンス頻度やコスト低減に取り組んでいるという。

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