月刊OPTRONICS 特集序文公開

車載光通信コンポーネントの歴史と最新技術

著者:矢崎総業 芹澤直嗣

1.はじめに

近年の自動車は,基本機能である「走る」,「曲がる」,「止まる」に加えて「安全性」,「信頼性」および「快適性」の向上が必須要件となっている。特に,自動運転技術の高度化に伴い,車載カメラ,LiDARを含む各種センシングデバイスの搭載数が急速に増加している。これにより,ECU(電子制御ユニット)およびセンサ類の総数が200を超えるような車両も上市されている。

このような多数のECU間で高信頼かつ大容量のデータ伝送を実現するためには,高速車載ネットワークの整備が不可欠である。従来はツイストペア線や同軸ケーブルが伝送媒体として採用されてきたが,機能追加に伴う回路数の増大はワイヤーハーネスの複雑化と重量増加を招き,車両全体の軽量化に対する阻害要因となっている。また,伝送速度の増大に起因して電磁ノイズの影響が顕著となり,車載部品に対するEMC(電磁両立性)要件は一段と厳格化している。

これらの課題に対して,光通信技術を車載高速伝送に適用するアプローチが注目されている。光ファイバは広帯域,低損失,そして電磁ノイズの影響を受けないという利点があり,次世代車載ネットワークの有力な伝送媒体として期待されている。

本稿では,これまでの車載光通信に関する実用例を概説するとともに,マルチギガ時代の車載光通信技術の適用に向けた主要課題と対応について述べる。

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