月刊OPTRONICS 特集序文公開

機能を観る—放射光分光が解き明かすCeO2系ナノ粒子の電子状態と酸素キャリア機能の起源—

著者:東北大学 西堀麻衣子

1.はじめに

光技術の進展により,物質構造の精密な観測が可能となり,材料科学における構造理解は大きく進展してきた。一方で,現代の材料科学が目指すのは,静的な「構造」の把握にとどまらず,材料がなぜ特異な「機能」を発現するのか,その電子的・化学的起源にまで踏み込んだ理解である。我々の研究グループでは,高輝度な放射光X線をプローブとして用い,機能性材料の動作原理を解明する,すなわち「機能を観る」ことを主眼とした研究を展開している。本稿では,これまで研究対象としてきた酸化セリウム(CeO2)系ナノ粒子に焦点を当て,放射光X線分光法(X-ray spectroscopy,図1)を駆使して機能発現の起源に迫った成果を紹介する。

図1  X 線分光法の例。X 線と原子の相互作用を利用することで着目したい元素の電子状態がわかる。

CeO2は,酸素吸蔵放出能(Oxygen Storage Capacity:OSC)に優れ,高い触媒性能を示すことが知られている。特に,ナノサイズ化によってこの機能が顕著に向上することが報告されているが,そのメカニズムは未だ十分に解明されていない。我々はまず,SPring-8の硬X線および軟X線分光を用いて,CeO2ナノ粒子における電子状態のサイズ依存性の解明に取り組んだ。得られた知見を基に,CO2削減技術として期待されるケミカルループ法に向けた新規酸素キャリア材料を創出し,その高性能化に寄与するドーパントの化学状態を,2024年に運用が開始された3GeV高輝度放射光施設NanoTerasu(ナノテラス)の軟X線を用いて解明した。

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