月刊OPTRONICS 特集序文公開

ナノ構造を観る—テンダーX線タイコグラフィによる革新

著者:東北大学 髙橋幸生
図 テンダーX 線タイコグラフィ計測システムの光学系模式図。

1.はじめに

近年,エネルギー材料や高分子,触媒,バイオなど多様な分野で,物質内部のナノ構造を「観る」技術への関心が高まっている。ナノスケールの構造や組成の違いが,マクロな機能や劣化に直結するためである。特に,リチウムイオン電池やリチウム硫黄電池では,数十nm以下の構造が性能や寿命に大きく影響する。このような背景から,ナノ構造可視化は単なる分析手法ではなく,機能設計の鍵として位置づけられている。これまで,電子顕微鏡やX線顕微法,蛍光超解像顕微鏡など様々な手法が開発されてきたが,試料の厚さや元素,観察対象の性質によって一長一短があった。その中で注目されているのが,レンズを使わず干渉性の高いX線で得られた回折パターンをもとに像を再構成する「X線タイコグラフィ」である。この手法はレンズの性能に依存せず,X線の高い透過性を活かして厚みのある実材料の内部構造を高分解能で観察できる。本研究では,2024年4月に稼働を開始した3GeV高輝度放射光施設「NanoTerasu」を用いて,テンダーX線(2-5 keV)領域におけるX線タイコグラフィの実証実験を実施した。タンタル製テスト試料で20nm未満の分解能を,またリチウム硫黄電池用高分子材料では50nm未満の分解能で内部構造を非破壊で観察することに成功した。本稿ではこの成果と技術の意義,今後の展開について述べる。

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