月刊OPTRONICS 特集序文公開

部材供給可能なメタアトムと三次元バルクメタマテリアルの創成

著者:東北大学 金森義明

1.はじめに

現在,米国や日本をはじめとする各国で,2030年代の実用化を目指した第6世代移動通信(6G)の研究開発が進められている。6Gではテラヘルツ(THz)波の利用が明言されており,通信のみならず医療,農業,環境,セキュリティなど多様な分野での応用が期待されている。

6G実現には,THz波を制御可能なレンズやフィルタなどの光学素子が不可欠である。しかしこの帯域では適した光学材料が限られており,屈折率の選択肢も狭いため,高性能な素子の設計は難しい。従って,加工性に優れ,広範な屈折率特性を持つ新材料の開発が求められている。

このような課題に対し,波長より微細な構造によって人工的な電磁応答を生み出すメタマテリアルが有望視されている。メタマテリアルの社会実装が進めば,THz波領域における前述の課題が解決され,産業応用の大幅な展開が期待される。一方で,その製造には高度な微細加工が必要であり,社会実装に向けた技術的障壁となっている。

現在は,基材表面に微細加工された2次元構造体であるメタサーフェスが主流であるが,仕様が固定されており再加工が難しい。そのため,製造や応用が一部の限られた機関に集中し,結果として普及が進みにくくなる可能性も懸念される。

これに対して,3次元バルクメタマテリアル(メタマテリアルで構成されるバルク物質)は,より高い自由度と応用性を持つものの,実用的な製造方法が長らく課題とされてきた。3次元バルクメタマテリアルを光学素子の基材として用いることで,THz領域における屈折率の制約を克服できる可能性がある。これにより,従来の可視光用光学素子の設計手法や知見を応用し,実用性と高機能性を兼ね備えた多様なTHz光学素子の開発が期待される。可視光分野で培われた設計資産をそのまま活かせる点は,THz光学素子の普及と市場拡大において大きな優位性となる。

著者らは,自由な形状に形成可能で,安価かつ大量生産が可能なTHz波用3次元バルクメタマテリアルの製造技術を開発した。本稿ではその概要を紹介する。本技術により,金型成形や切削加工による量産が可能となり,製造業各社が容易に参入できる新たな光学部材市場の創出が見込まれる。メタマテリアルはもはやハイテク素材ではなく,誰もが扱える「部材」として,6G競争を支える中核技術となることが期待される。

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