レーザーを使いこなし,品質保証に繋げる加工プロセス開発が重要

著者: admin
─レーザーのハイパワー化はますます進むものと思われます

レーザー出力とビームプロファイル,それを適材適所でどう使うかが大事です。レーザーのハイパワー化を達成しました!だけでは普及していかないと思います。やはりレーザーメーカーとユーザーとの間で課題を共有し,それぞれの立場で議論して課題解決のために共創しながらアプローチしていく必要があるでしょうね。このようなシナジー効果を発揮させていくのは競争力を強化するうえでも重要です。そのあたりを見抜く目利き力も大切ですし,私もその道の目利きになれるように頑張りたいと思います。

─その点において欧米ではどうなのでしょうか

欧州の技術者は,研究内容や結果を偏らずに両面で見ること,客観的に物事を考えるバランスが良いと思います。白黒をつけるということではなく,非常にオープンな領域で議論されます。あまり,否定されず技術に対して寛容な雰囲気があります。また,プロフェッショナルな人たちが昼夜を忘れて議論できる環境にも圧倒されました。このような環境が先行技術や新しい設備が生まれる風土を醸成しているかもしれません。

─今後のレーザー溶接技術について目指すところとは

私は,自律型のレーザープロセスを構築したいと思っています。例えば,モニタリング技術は品質を保証するという面で非常に重要です。現状では不良品を流出しないようにモニタリングしているので,決して盤石とは言い切れません。この状態をフィードバックしたり,フィードフォワードしたりして,溶接プロセスや工程で出来上がったものが全て良品で不良品は作らないというところまで技術を確立していかなければいけません。この状態が自律型のレーザープロセスです。その意味で,まだまだ溶接技術はサイエンスに落とし込まれていないと思いますので,この部分を深く追求していくことがポイントになると思います。

レーザーは,まだまだ進化すると思いますし,無限の可能性を秘めたスーパーツールです。使いこなすことで新しい世界を作り出せると期待しています。◇

(月刊OPTRONICS 2024年8月号)

関連記事

  • バッテリーフリーが当たり前の時代へ ― 光無線給電の有効性

    AIがシステム構築を加速化させる -周辺技術の進歩も目覚ましいとのことですが 基本技術は既に揃っています。ただ高出力レーザーを使用するので安全面をどのようにカバーするか、また社会がどう受け入れるかが課題です。 現在は周辺…

    2025.10.16
  • 注目のパワーレーザー―日本の戦略と研究開発の行方

    ―小型化・高耐久化はどのように進むと考えられますか これまでのレーザー開発は,大出力化とともに装置も大型化してきました。しかし今後は,ビーム径を一定以下に抑え,複数ビームを組み合わせる方向に進みます。AIやコンピュータ技…

    2025.10.16
  • レーザー核融合の半世紀-浜松ホトニクスが描く「10kJ・10Hz」へのロードマップ

    目標10kJ。高出力レーザーの他分野への可能性 -今後のロードマップは 短期では2028年までに1kJ,長期では2040年までに10kJ(1ビーム)を目標としています。実現には励起光源である高出力半導体レーザーのさらなる…

    2025.10.16
  • 光プラスαの技術で水中ビジネスを加速させる!

    ─AQUADJASTの具体的な取り組みについてお聞かせいただけますか? AQUADJUSTが掲げているのは,海の新経済圏です。これをWARSsaS(Wireless Aqua Robo System as a Servi…

    2024.03.12
  • 学術と産業の架け橋となり,更なるイノベーション創出を

    ─改めてレーザー学会の役割と今後の取り組みについてお聞かせください 学会の役割は先ほども述べたように,①学術の振興と新分野・融合分野の開拓,②社会・産業界での実用化の促進,③人材育成の3つがあり,これは変わることはありま…

    2024.01.15
  • 芽から幹への成長が期待される面発光レーザーの産業化

    先ほど,面発光レーザーを実現するうえで3つのアプローチを挙げましたが,そのうちの波長の再現性ということでは,1992年に機械的に波長を合わせる実験をしました。その後MEMSをベースとした波長掃引型面発光レ ーザーが開発さ…

    2023.12.07
  • 日本が実用化の先導役となるか!?注目のペロブスカイト太陽電池開発動向

    ─いよいよペロブスカイト太陽電池を採用した製品の登場で,ビジネス展開が期待されます。しかし,少し心配されるのが,シリコン系太陽電池の二の舞になるのではないかという指摘です。この点についてどのようなお考えでいらっしゃいます…

    2023.10.06
  • パワー半導体とイメージンセンサーの両輪で挑んだ日本市場の一年とは

    -安定供給について施策はあるのでしょうか? そもそも半導体製造装置の供給自体がここ1~2年,コロナによって困難でしたが,ようやく改善されてきました。パワー半導体もセンサーも一部のテクノロジーに関しては相変わらずタイトな状…

    2023.09.29
  • 眼に装着する究極のディスプレー─ホログラムが可能にする未来とは

    ─実験はどのように行なったのでしょうか? 原理確認実験では,SLMを通してシースルーの実現と同時に再生像も見えることを示したかったのですが,位相変調型のSLMは反射型しかなく,振幅変調型の透過型SLMを使って実験台上で行…

    2023.09.27

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア