緑の光が日本の漁業を救う─陸上養殖のカギとなる光の効能とは

◆高橋明義(タカハシ アキヨシ)
北里大学海洋生命科学部 魚類分子内分泌学研究室 教授

1957年,岩手県釜石市生まれ。
1980年,北里大学水産学部卒業。
1985年,北里大学大学院水産学研究科博士課程終了。
水産学博士。日本学術振興会奨励研究員,北里大学医学部助手等を経て,2006年より現職。著書(共著)に『ストレスとホルモン』(学会出版センター),『ホルモンから見た生命現象と進化シリーズⅢ成長・成熟・性決定—継—』(裳華房)など。2016年,日本水産学会『水産学進歩賞』受賞。日本比較内分泌学会会長。

日本の漁獲量が急減している。2017年は現在の統計を始めた1956年以降最低となる325万トンと,ピークであった1984年の3割以下にとどまった。庶民の魚であるイワシやサバが高騰し,最近ではサンマやスルメイカも不漁となるなど,日本の漁業資源は危機的状況にあるように見える。

その要因として気候や海流の変化,外国船の漁獲拡大などが指摘されている。しかし,世界全体の漁獲量は減っていないことから,日本の水産資源の枯渇を招いた原因は乱獲にあると見る向きも多い。

この状況を脱し,日本の漁業を復活するには,水産資源の保護と同時に持続可能な漁業の構築が必要となる。そこでは政策の整備はもちろん,稚魚を一定の大きさに育てて放流する種苗生産や養殖も大きなカギを握る。

ここで注目されているのが,緑色のLED光を当てるだけで魚の成長を促進するという,北里大学教授の高橋明義氏による研究だ。半導体が放つ光は日本の漁業を救う一筋の光明となるのか。その現状を聞かせて頂いた。

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