レーザーのコヒーレンスとは何?

光波は,時々刻々変化しますので,異なる時刻間における光波の関係を表すのが時間コヒーレンスです。ある時刻に波の山が通過したとして,それからある特定の時間経過したきに通過する波の様子が予想できるでしょうか?一般的に,経過時間が短ければある程度は可能ですが,経過時間が長くなるにしたがって難しくなると予想されます。その度合いを示すものが時間コヒーレンスです。


図3
図3

光が理想的に単色(単一波長λ(ラムダ))であるとします。このとき,光の波長は決まっているので,どんなに時間が経過してもその後やってくる波は予想できます。もし,波長が違った光が混在している場合はどうでしょう?図3に描いてあるように,ある時刻で山であった波のt秒後の位相は波長によって異なる値を取ります。tが大きくなると,谷と山が混在して,平均化されてしまうでしょう。

波の相関が保証される最大の時間差Tは,光の波長の違いをΔλとして,おおよそT=λ2/cΔλで与えられます。cは光速です。これをコヒーレンス時間と呼び,ℓc=cT=λ2/Δλをコヒーレンス長と呼んでいます。レーザー光の進行方向の中で,この範囲内にある光は干渉しあうことができます。時間コヒーレンスが大きいということは,Δλが小さい,すなわち単色性が高いことを意味します。計算は省きますが,波長の違いΔλを周波数の違いΔfに置き換えますと,T=1/Δfになります。

例えば,波長632.6 nmのヘリウムネオンレーザーの周波数幅は約106Hzですので,コヒーレンス長は300 mになります。時間に換算すると,300 m/(3×108m/s)=10-6秒です。ヘリウムネオンレーザー光は,10-6秒(1μs)以内であれば,出てきた光波が干渉することができるのです。一般の原子の自然放出における典型的な値は10-9秒程度ですので,コヒーレンス長に直すと数十cm程度しかありません。


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