2026 年を迎え,21 世紀が「光の時代」と言われてから四半世紀が経過した。この間に光技術を取り巻く環境は変貌し,一部は社会実装のフェーズへと踏み込みつつある。その代表格が光電融合技術であり,NTTが推進するIOWN構想でも重要な位置を占める。光電融合技術/シリコンフォトニクスは通信,コンピューティング,センシングを横断する基盤技術として存在感を高めている。こうした応用展開は,光技術が分野の境界を越えて重要性を増していることを示しているといえる。

近年注目を集めるレーザー核融合技術も,スタートアップの設立と民間投資により研究が加速している。量子通信,量子計測,量子計算を支える光源や光制御技術も高度化が進む。応用領域は宇宙へも広がり,デブリ対策や衛星間光通信,深宇宙探査に不可欠な要素となった。これらの新潮流は,光技術が安全保障や持続可能性の担い手としても期待されつつあることを示している。
本誌が基礎研究段階から追い続けてきたフォトニック結晶レーザーも産業応用に向けて動き出した。高効率でコンパクトな特性はLiDARや精密加工などでの活用可能性を示し,日本の光デバイス産業に新たな展望をもたらしている。
政策の岐路
一方,2020年代後半の日本は単なる技術進展の延長では語れない局面にある。AI の急速な発展は光技術と相互依存を深め,経済構造にも変革を迫っている。生成AIの普及は半導体需要とデータセンター電力を押し上げ,カーボンニュートラルとの両立が課題となった。加えて,デジタル基盤の拡大に伴う人材確保や国際競争力の強化も避けて通れない論点となっている。
光電融合技術は省電力化に有望だが,それだけでは不足し,日本のエネルギー政策はより現実的な選択が求められる。再生可能エネルギー拡大やフュージョンエネルギー投資など,多層的なアプローチが必要な時代に入った。
政府が掲げる17 の重点投資分野にはAI・半導体,量子,バイオ,航空・宇宙,核融合,情報通信,防衛などが並ぶ。多くが光技術と密接に関わり,AI・半導体では製造にも光技術が不可欠で,光電融合デバイスも半導体技術と位置づけられる。宇宙や核融合は国家安全保障とも結びつく。
未来への鍵
光技術は個別産業を支える周辺技術ではなく,国家戦略を横断する基盤へと変貌した。日本が「光の時代」の第二幕を切り開く鍵は,研究開発の連続性と社会実装を加速するエコシステムである。大学の知を企業へ円滑に流し,スタートアップが挑戦できる環境を整えることが重要だ。特に競争が激しいAIや量子では,光技術を核とした日本の強みを体系化できるかが成否を分ける。
こうした取り組みを持続的に推進するためには,産学官が共通の長期ビジョンを共有することが不可欠である。光がもたらす恩恵は技術だけにとどまらない。本誌は光技術専門メディアとして,社会が光をどう受け入れ,活かすのかという視点から伝えていく姿勢を重視したい。
2026 年,日本は光が描く未来を選び取る岐路に立っている。次の四半世紀は,光を巡る技術と政策,そして社会の選択が国家の姿を大きく左右するだろう。