キヤノンは,第6世代ガラス基板に対応したFPD(フラットパネルディスプレー)露光装置の新製品として,露光幅拡大により高い生産性を実現した「MPAsp-E1003H」を2024年6月上旬に発売すると発表した(ニュースリリース)。
近年,自動運転技術の進展や電気自動車の市場拡大により,多様な車載用ディスプレーの需要が高まっている。車載向けやスマートフォン向けのディスプレーの製造においては,薄型・軽量と高精細を両立する品質を実現しながら,効率的に量産を行なう高い生産性が求められている。
新製品は,大型テレビなどの65型パネルを一括で露光可能な第8世代ガラス基板向け「MPAsp-H1003H」(2022年7月発売)で投影光学系を搭載したことにより,1.5μm(L/S)の高解像力で一度に露光できる幅を約1.2倍に拡大しているという。
1枚のガラス基板につき,従来6ショットの露光が必要であったスマートフォンなどの製品は4ショットでの露光が可能となり,生産性が向上した。さらに車載用途に使われる横長の大型特殊ディスプレーも繋ぎ目なく2ショットで露光できるため,量産の効率化に寄与するとしている。
また,第6世代基板対応の「MPAsp-E813H」(2014年9月発売)と同じアライメント方式を採用しているほか,新開発の非線形補正REIユニットを搭載している。REIユニットにより露光幅を拡大しても±0.30μmという高い重ね合わせ精度を実現するという。
さらに,「MPAsp-H1003H」で実績のある超解像を実現する照明モード切替機構,露光線幅を安定させる露光スリット自動調整(SIC)機構,露光レイアウトに合わせて最適なガラス基板の向きを縦横選択可能にするユニバーサルチャックを踏襲し,さまざまな製造プロセスへの対応力と品質の安定化を強化するとしている。