セブンシックス,ピコ秒レーザーモジュールを発売

セブンシックスは,半導体レーザーの連続出力を導入するだけで,超短パルス光を発生する全光ファイバ光学モジュール「iQoM(アイコム)」の予約受付を2022年7月より開始すると発表した(ニュースリリース)。価格は9,999ドル~。

環境安定性に優れた波長1um帯の超短パルスファイバレーザー(以下,FL)は,更なる高信頼性化,長寿命化,低価格化が求められている。この製品は,波長976nmの半導体レーザーと組み合わせることで,時間幅がピコ秒の光パルスが発生する全光ファイバモジュール。

現在市販されているFLのほとんどは,超短パルスレーザーの発振器内部にSESAMという可飽和吸収「材料」を使用している。しかし,SESAMには経年劣化,特性のバラつき,入手性に課題があり,発振器の動作不良・故障の原因となる。

この製品はSESAMの代わりに,人工的な可飽和吸収「機構」を採用し,経年劣化と特性のバラつきがないとする。また,FLの発振器として用いることで,FL全体の長寿命化,高信頼性化を実現するという。

これまでの人工的な可飽和吸収機構を採用した発振器は,フィードバック制御された2台以上の半導体レーザー,もしくは比較的大きな特注光学部品を必要とし,高価でシステムが肥大化するため,SESAMを用いた発振器の置換えにはならなかった。一方,この製品の部品は全て光ファイバ通信グレードの市販品のみで構造もシンプルなため,小型で低価格を実現している。

また,FLでは狭帯域光バンドパスフィルタや光ファイバブラッググレーティングといった波長選択素子を最低1つ必要とするが,この製品は,異なる2波長の波長選択素子を用いることで(特許出願技術),レーザーの始動の確実性・再現性を高め,様々な波長への拡張性を実現したという。

さらに,半導体レーザーや電気回路といったアクティブ部品を含まず,光ファイバ部品を組み合わせたモジュールなため,小型・軽量で故障のリスクもない。励起用半導体レーザーの複雑なフィードバック制御を必要としないため,既に保有・製造しているFLの発振器・エレクトロニクスとの互換性が良く,SESAMを使用した発振器からの置き換えも簡単だとする。

通常,励起用半導体レーザー1台の光エネルギーを発振器とプリアンプで共有すると,発振器(もしくはプリアンプ部)でジャイアントパルスが発生し,それが更に増幅されることで,光学部品が破壊される危険性があるため推奨されない。この危険性は,人工的な可飽和吸収機構を採用した発振器で顕著になる。

だがこの製品では,①発振器の始動閾値低下,②ジャイアントパルス発生確率低減,③ジャイアントパルスのプリアンプ伝搬抑制の3つが可能になったため,1台の励起用半導体レーザーを発振器とプリアンプで共有でき,安価に提供できるとしている。

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