日本電子は,新型ショットキー電界放出形走査電子顕微鏡「JSM-IT800」の販売を開始した(ニュースリリース)。ハイブリッドレンズバージョン(HLバージョン)とスーパーハイブリッドレンズバージョン(SHLバージョン)があり,価格はHLバージョンが71,000,000円~,SHLバージョンは98,600,000円~。
走査電子顕微鏡(SEM)はナノテクノロジー,金属,半導体,セラミックスや医学・生物学の分野など様々な分野で活用され,使用される目的も基礎研究から製造現場,品質管理まで幅広くなっている。それに応じて,より早く高画質データを取得したい,分析を意識しないでより楽に組成情報を確認したいという需要が高まっている。
この製品は,これまで同社が開発してきた,高分解能観察から高速度元素マッピングまで可能な「インレンズショットキーPlus電界放出形電子銃」,次世代型電子光学制御システム「Neo Engine」,EDSとフルインテグレーションし,使いやすさを追求したGUI「SEM Center」を共通のプラットフォームとしている。また,SEMの対物レンズをモジュールとして置き換えることで,様々なニーズに応じた装置を提供するとしている。
対物レンズの違いにより,汎用FE-SEMであるHLバージョンと,より高分解能観察や分析を目的とするSHLバージョンがある。SHLバージョンには新たな検出器UHD(上方ハイブリッド検出器)を標準搭載することにより,これまで以上に高S/Nの画像取得が可能で,容易な観察を実現するという。
また,新しい反射電子検出器であるシンチレーター反射電子検出器(SBED)と多目的反射電子検出器(VBED)を搭載。SBEDでは応答性の良い,低加速電圧での材料コントラスト像の取得が,VBEDでは3D,凹凸,材料コントラスト像の取得が可能だとしている。