日本電子とニコンの子会社,ニコンインステックは,アスベスト(石綿)の同定を行なう「アスベスト CLEM(光電子相関顕微法)ソリューション」を提案する(ニュースリリース)。
アスベストは,天然にできた鉱物繊維の総称で,不燃性,耐熱性,耐腐食性に優れることから,主に建材として使われてきた。しかし,アスベストは吸引することにより健康被害が生じる可能性があるため,2006年より製造,使用等が禁止されている。
現在は,2006年以前に建築された建物の解体,改修工事をする際,アスベストの使用の有無について,各種法令に基づき,専門家による正確な事前調査が求められている。調査対象となる解体等の工事件数は今後増加し,2028年ごろには年間約10万棟になると予想されている。
今回,同社が提案するソリューションは,ニコンの光学顕微鏡で分析対象となる繊維を見つけてマーキングし,日本電子の電子顕微鏡でソフトウエアによる元素分析を実施する。同一サンプルを用いて光学顕微鏡,電子顕微鏡で形態観察,計数,元素分析をすることで,さまざまな鉱物や繊維が混在する試料であっても,より正確な同定をサポートする。
これにより,工事件数の増加によって需要がさらに増すアスベストの分析調査を効果的に行なうことが可能になるという。なお,2社が共同で2017年に開設した「JEOL-Nikon CLEMソリューションセンター」では,今回のソリューションをはじめとしたCLEMソリューションを体験できるとしている。